中国で「ニセ秋田犬」横行 血統良ければ1000~2000万円で取引
2016年11月8日(火) 夕刊フジ
北京で開かれた「中国秋田犬クラブ博覧会」(写真:夕刊フジ)
日本犬では唯一の大型犬で、天然記念物に指定されている「秋田犬(あきたいぬ)」のニセモノが、中国で横行しているという。
血統が良ければ、同国では1頭1000万~2000万円で取引される犬もいるため、悪質ブリーダーが“雑種”を秋田犬として販売しているようなのだ。
ニセモノ大国の暴挙を阻止するため、公益社団法人「秋田犬保存会」が動き出した。
「秋田犬という『日本古来の種』を守るため、保存会では血統証を発行しているが、中国では悪用・偽造されている疑いが強い。このまま放置しておくと、中国産の『ニセ秋田犬』が世界中に広まる恐れがある」
秋田犬保存会の遠藤敬会長(日本維新の会衆院議員)は、脅威にさらされている秋田犬の現状について、こう憤った。
「忠犬ハチ公」のエピソードで知られる秋田犬は、飼い主に忠実なうえ、利口で勇敢な家庭犬である。
ロシアのプーチン大統領や、キャロライン・ケネディ駐日米大使も愛好し、ヘレン・ケラーも飼育していた。
日本では、数万円から数十万円で取引されるが、2009年にリチャード・ギアが主演した米映画「HACHI」の公開後、海外での人気に火がついた。
中国の富裕層も熱狂し、いつの間にか高額化し、ニセ秋田犬が広まったという。
こうした現状を憂慮した遠藤氏は、10月23日に中国・北京で開かれた「中国秋田犬クラブ展覧会」(主催=秋田犬保存会)に出席し、中国人愛好家に対して、ニセモノ対策の必要性を強く訴えた。
秋田犬の「血統証」は、保存会が申請を受けた秋田犬に発行しているが、中国では偽造「血統証」も出回っている。
さらに、秋田犬は1回の出産で数頭産むのが限界だが、中国からは最近、「十数頭生まれた」という不可解な申請も増えているという。
全世界で、秋田犬の登録数(犬籍)は15年が3667頭だったが、今年8月までに4130頭と一気に増えている。
中国のニセ秋田犬が混じっている疑いもあるという。
遠藤氏は「中国発の偽ブランドとまったく同じ構図だろう。秋田犬は、日本の長い歴史と風土の中で、先人が大切に育ててきた犬だ。今後、血統証の発行審査を厳しくして対応する」と話している。
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中国で「ニセ秋田犬」横行
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