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子育てしながら猫の保護活動20年

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子育てしながら猫の保護活動20年 譲渡スペースを運営

2016年11月9日(水) sippo(朝日新聞)


山本仁美さん

山本仁美さんが昨秋、保護猫の譲渡活動拠点「えんむすびスペース なないろしっぽ」を岡山市南区新保に開いた。
猫カフェ形式で、小さな命と飼いたい人の縁をつなぐ空間である。
訪ねてみた。

いるいる。
足元にトラジマの猫。
いすの上に白い子猫。流し台の下で丸くなる猫。
この日は12匹が思い思いにくつろぎ、遊び、居眠りをしていた。
みな、元捨て猫たちだ。
訪れた客は猫じゃらしなどを使って猫と戯れる。
見向きもされず、ぷいっと立ち去られるのも、これまた猫との楽しいやりとりだ。
若い頃は犬好きで、猫には関心がなかった。
転機は約20年前のこと。
娘が通う保育園に、子猫が4匹捨てられていた。
「明日、保健所に持っていく」と聞き、たまらず「飼ってくれる人を探そう」。
連れて帰った。
当時住んでいた集合住宅はペット飼育禁止だった。
大家さんに「飼うんじゃないから」と交渉し「一時のことなら」と許しをもらった。
猫保護活動をしていた人に手伝ってもらい、10日ぐらいで引き取り手が見つかった。
「その後、切れ目なく保護猫たちが次々滞在することになっちゃって」
猫の保護は簡単ではない。
人と折り合う「社会化」ができていない猫がいる。
病気や障害があることもある。
健診をし、ワクチンをうち、生後半年以上なら不妊手術をし、人に慣れる訓練を経て、ようやく飼い主探しができる。
費用も手間もばかにならない。
なないろしっぽのオープン当初は「野良猫にエサをあげていたら増えた。ひきとってもらえないか」などという相談が殺到した。
「エサをやったら居着いて増えるのは当たり前なのに。『それはあなたの責任でしょう』と断ると、怒り出す人がいます」と嘆く。
スーパーで夜勤をしながら2人の子を育て、その合間を縫って保護活動を続けた。
やみくもに猫を飼い、手に負えなくなる多頭飼育崩壊の救援に関わった。
東日本大震災の被災地からの引き取りも続けている。
「1人でできることは、本当に少ない」。
時に心が折れそうになる。
「できることをできる範囲で」と自分に言い聞かせながら続けていると、いつのまにか仲間が増えた。
なないろしっぽは、そんな仲間に支えられてできた夢の空間だ。
手をかけた猫を譲る時、つらくはないのだろうか。
「猫は過去を引きずらない。会っても私のことなんてすっかり忘れてる。『今、幸せなんだな』と安心できるんです。過去を忘れない犬なら、つらくて続けられなかったでしょうね」

【写真特集】かわいい保護猫たち


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