避難島民「早く帰りたい」=一夜明け、疲れた表情―長期化に不安も・屋久島
2015年5月30日 時事通信
鹿児島県・口永良部島の爆発的噴火から一夜明けた30日朝、屋久島の避難所で不安な夜を過ごした住民は疲れを隠せない様子。
自宅に残したペットを気遣い、「早く帰りたい」と漏らすなど、先の見えない生活に表情を曇らせる人もいた。
避難所となった福祉施設に身を寄せた給食センター職員の関口久子さん(43)によると、同施設に入った約30人のうち11人は口永良部島の町立金岳小、中学校の生徒だが、「混乱した様子はなく、布団の片付けやごみ出しを手伝ってくれた」という。
5時半ごろに目が覚めたという金岳中学3年の貴舩楓さん(14)は「きのうは疲れてたからすぐに寝ちゃった。飼っている猫を家に置いて来たので心配。早く島に帰りたい」と不安げな表情。
6月1日から屋久島の中学校に登校するが、「人数が多い学校だから少し心配」と漏らした。
ともに避難した同中1年の山口芽衣さん(12)は「訓練を積んでいたのでスムーズに避難できた」と振り返りつつ、「ニュースで噴煙が上がっている映像を見てびっくりした。今、島に誰もいないのが不思議な感じがする」と語った。
着の身着のまま避難し、宮之浦公民館に入った水本勝夫さん(77)は、愛犬の「華」(メス、8歳)を館内に入れられないため、玄関前に毛布を敷いて一夜を明かした。
「ほえるから他の人が嫌がると思って。でもぐっすり眠れるもんじゃないな」と水本さん。
やや疲れた様子だが、「華はいい話し相手、仲間。命拾いして生きてるだけでも幸せなのに、こいつと一緒にいられてこれ以上ない幸せだ」と顔をほころばせた。
別の福祉施設では、約40人が大部屋で寝起き。
日高重美さん(66)は「昨夜はただ横になっているだけという人もいた」と話した。
畠美津子さん(72)は「島にはペットもいるし、ガソリンスタンドの仕事もある。共同生活が長引くと続けられなくなる人も出てくる」と不安を隠せない様子。
着替えなどを持ってきていない人もおり、避難者には日用品のセットが支給された。
[時事通信社]
噴火時の映像