古民家を犬の保護施設に CFで改修費募集 勝浦在住の元米独立リーガー
2015年02月12日ちばとぴ
改修を進める古民家2棟の前で、ピットブルのウェッサイ(右)とヴェロンと戯れる池田さん=1月、勝浦市赤羽根
米独立リーグでプレーした元野球選手が、捨てられた犬を保護する活動を勝浦市内で行っている。
NPO法人「WAMPERS(ワンパーズ)」の池田豪理事長(39)だ。
インターネット上で小口資金を募るクラウドファンディング(CF)を利用し、古民家の改修費300万円を募集。「地域の子どもやお年寄りが、犬たちと触れ合える保護施設をつくりたい」と賛同者を求めている。
「こんにちは!」。
元気良くやってきた近くに住む女子児童が、朝夕の散歩のお供を買って出てくれる。
近隣住民から畑で取れた野菜をもらえれば、力仕事を手伝ってお返し。
「一番近い自販機ですら徒歩20分かかる場所。周りの人とつながらなければ生きていけない」と笑う。
経歴は少し異色だ。
東京都出身で、大学中退後の1997年に渡米。
本場で野球に打ち込んだ。
独立リーグ在籍2年間で77試合に出場、74安打、3本塁打で打率2割8分2厘の成績を残したが、限界を感じて引退。
その後は大リーグ・エクスポズで、当時在籍していた伊良部秀輝投手の通訳を務めるなどして、2005年に帰国した。
「フラフラしていた」という日々の転機はそれから5年後。
捨てられた1匹のピットブルとの出会いだった。
元来の犬好きは、迷わず引き取りを決めた。
ピットブルはもともと闘犬の一種。
「要らなくなると簡単に捨てちゃうんだな」と感じると同時に、他にも数え切れないほど引き取り手を探している犬がいることを知った。
「人間は都合が良すぎる。自分のできる範囲で何かやろう」。
活動を始める決断は、難しくなかったという。
保護依頼は途切れなかった。
知り合った仲間たちと共に、12年に法人を立ち上げ活動を本格化。
理事長に就き、大多喜町に拠点を置いた。
一時は東金市内に場所を移しながら、昨年5月に勝浦市内の築100年以上の古民家と近くの広大な土地を見つけ、自分たちの手で整備を進めてきた。
CFで募集するのは、土台や屋根など「プロの手」が必要な2棟の修理費。
1棟は大広間にして誰もが立ち寄れる憩いの場に、もう1棟は、子どもたちに生き物との共存や自然の大切さを学んでもらう寺子屋のような存在にしようと考えている。
もちろん、犬たちも一緒に戯れることができる造りにするつもりだ。
ピットブルやチワワなど計15匹と暮らす毎日に「アメリカにいた頃は、こんな生活をするとは想像できなかった」。
これまでの4年間で、約100匹を里親と結びつけてきた。
「在庫が出たら処分するという、犬を工業製品の様に扱うおかしな当たり前の現状がある。たくさんの人に知ってもらい、命やモノの大切さを再認識してほしい」
CFは11日午後7時までに198人が計約280万円を出資しており、期限は26日午後11時まで。
1口3千円からで、出資額に応じチャリティーTシャツや手ぬぐいなどと引き替えられる。問い合わせは池田理事長、電話080(3359)6227。
◇捨て犬
環境省のまとめでは、2013年度に自治体に引き取られた犬は6万811匹で、譲渡は1万6950匹、返還は1万5129匹。
殺処分数は2万8569匹で近年は減少傾向にあるが、昨年は栃木県内でペットを販売をしていた男が犬を大量遺棄するなどの事件も発生した。