「愛情で救える命がある」社会起業家へ走り出す沖縄の高校3年生
ペット殺処分ゼロへ独居高齢者に譲渡策を探る シリコンバレーで研修も
2023年7月17日(月)
【宜野湾】
ペットをみとった今は、1人暮らし。話し相手がいなくなった家はあまりに静かで…。
そんなお年寄りに猫や犬をもう一度迎えてもらい、「殺処分ゼロ」をかなえたいと考える高校生がいる。
宜野湾市の沖縄カトリック高校3年のラザフォード・クリスティー・雛子さん(18)=北谷町在住。
「もちろん簡単じゃない。でも、きっと何かできると思う」。
解決モデルを探り、社会起業家として走り出そうとしている。
(中部報道部・平島夏実)
企業を目指すラザフォード・クリスティー・雛子さん(提供)
社会起業家は、社会の課題をビジネスで解決する。
興味も強みも分からず進路に悩んでいたラザフォードさんだが、「ペットの殺処分をなくせたら」という気持ちはあった。
胸に手を当てて考えると、自宅のチワワの「ココちゃん」が原点。
重度の皮膚病に苦しみ、ブリーダーの元で売れ残っていた。
ガリガリに痩せ細り、生死をさまよっていた。
知人を通じて引き取った母が動物病院に通い、餌をあれこれ試した姿を覚えている。
一命を取り留めたラザフォード・クリスティー・雛子さん宅のチワワ「ココちゃん」(提供)
「愛情で救える命がある」と強く感じた。
一方で、ココちゃんは殺処分されていたかもしれないとも思った。
どんな生き物も、そうあってほしくない。
まずは全国的に処分頭数の多い猫から始めようと思った。
高校2年の時、次世代のビジネスリーダー育成プログラム「Ryukyufrogs(琉球フロッグス)」に参加した。
投資家などから助言を受け、今春にはIT企業が集まる米国カリフォルニア州のシリコンバレーで研修を受けた。
「社会を良くしたい」という熱意と、ビジネスの厳しさのはざま。
煮詰まった時には「現場」に立ち返った。
「もう一度飼いたい」と切実な声を聞いた読谷村の高齢者施設。
「単に譲渡すればいいというわけではない」と猫の幸せを考える保護団体。
獣医師への聞き取りでは、1人暮らしのお年寄りが急に入院した場合や、認知症になって猫の健康状態を把握しにくくなった場合の支援が必要だと分かった。
ラザフォードさんは、お年寄り向けの既存の見守りサービスを基に、ペットとの生活をどう支えられるか探っている。
卒業まで約8カ月、生の声をもっと聞きたいと思っている。
「考えるだけでは進まない。行動は、やりたいことをかなえる近道だから」
(写図説明)
起業を目指すラザフォード・クリスティー・雛子さん(提供) (写図説明)一命を取り留めたラザフォードさん宅のチワワ「ココちゃん」(提供) (写図説明)(左)読谷村内の高齢者施設で聞き取りをするラザフォードさん(右) (写図説明)(右)米国カリフォルニア州のシリコンバレーで研修を受けるラザフォードさん(右端)(いずれも提供)