記録的な大雨で川が増水…行方不明になった人の飼い猫7匹を保護
保護団体「ふっくらとしてて幸せに暮らしていた猫ばかり…無念」
2023年7月17日(月)
全国各地で大気が不安定になり「線状降水帯」が発生するなど激しい雨が降り続いて、土砂災害や浸水、河川の氾濫など災害が相次いでいます。
今月1日深夜、記録的な大雨となった山口県美祢市内では軽自動車のドライバーが行方不明に。
そのドライバーが飼っていた猫7匹が家に残されたままとなり、地元の動物保護団体が無事保護しました。
保護したのは、同県長門市内で20年以上にわたり犬猫の保護活動をしているNPO法人「ちびたまのしっぽ愛護会」代表の山下未愛(みのり)さん。
山下さんによると、1日午前1時ごろ、美祢市内の県道で道路が冠水したため、7台ほどの車が立ち往生し、軽自動車のドライバーの飼い主だけが行方が分からなくなったといいます。
「当時、同市内を流れる厚狭(あさ)川が増水。軽自動車は流されたのか歩道の上に乗り上げていて、運転席の窓が開いていたらしく、このままでは車ごと流されると思って飼い主さんは車から降りられたのではないかと…そのまま増水した川に流されたのだと思います」
同市では、1日にかけて線状降水帯による記録的大雨が降り、厚狭川の氾濫をはじめ住宅の浸水、線路の崩落、水道の断水などさまざまな災害に見舞われたとのこと。
また13年前の2010年7月にも、集中豪雨のため同川の氾濫による大規模な浸水被害などが起きたそうです。
「以前も大洪水になり家まで流されたり死者が出たりしました。今回も住宅や線路などに多大な被害が出ています。この状況の中、警察が捜索していたとのことですが、飼い主さんの行方はまだ分からないようです」
行方不明のドライバーが猫7匹を飼っていた。写真は、とらちゃんと見られるキジトラ雄。2歳1カ月の最年少という(山下さん提供)
捜索3日目、軽ドライバーの飼い主行方が分からず…保護団体、猫7匹を里親募集へ
そして捜索3日目になり、ドライバーが勤めていた職場の同僚から山下さんのところに連絡がきたといいます。
「同僚の方から行方不明になった飼い主さんの猫7匹についてのご相談でした。飼い主さんのご自宅に猫たちだけが置き去りになってしまい、身内の方から猫のことを頼まれて同僚の方が毎日お世話に行っているとのこと。行方不明になって3日目になり、お元気で戻ってくることは難しいんじゃないかと…戻ってくることがなかったら、猫たちをどうしたらいいかととてもご心配されていました」
ドライバーの身内も猫たちを引き取ることは難しく、地元の保健所に相談したとのこと。
そこで最終的にドライバーの同僚から相談を受けた山下さんのシェルターに猫7匹を一時的に受け入れることとなりました。
「飼い主さんが住んでいた地域は野良猫が多く、おそらくご自身で保護された猫たちだと思います。また完全室内飼育でふっくらとしてて幸せに暮らしていたと想像できます。これだけの猫たちを大切に育てていて、飼い主さんはきっと優しい方だったんだろうなと切なくなりました…無念です」
7匹の猫たちの名前は、とらちゃん、みきちゃん、みーちゃん、ぴーちゃん、しろちゃん、ゆきちゃん、くーちゃん。
かかりつけの獣医師によると、猫の名前は分かるものの、どの毛色の猫の名前なのか…把握していなかったとか。
とはいえ、行方不明になった飼い主さんはいまだ見つからず。
猫たちのそれぞれの名前が判明しなくとも、山下さんは猫たちの里親を募集することに踏み切りました。
「猫たちは状況が変わり過ぎて落ち着かない様子を見せていますが、私たちのシェルターよりも一般家庭でかわいがっていただくことで少しずつ落ち着いてくるかと思っています。 飼い主さんの安否が分からないまま複雑な気持ちではありますが、身内の方の引き取りが難しいこともあり、里親さんを募集させていただきます。 成猫ですが、みなかわいくて健康な子ばかりです」
里親募集についての問い合わせは、ホームページ「ちびたまのしっぽ愛護会」の「里親応募フォーム」まで。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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