ホームセンターの猫が見るたびに値引き「可哀想で見るのが辛い」
売れ残った猫は…葛藤の末の決断
2023年6月16日(金)
ペットショップやホームセンターで行われている生体売買に対し反対の声も
ペットショップで猫を購入するのはいけないこと……?
ホームセンターで売られていた猫を購入すべきか悩む愛猫家の投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。
近年、保護猫活動の啓発が広がり、猫を飼うなら譲渡会でという機運が高まりつつある。
それとともに、ペットショップやホームセンターでの生体売買に対する反対の声も広がっている。
今回、葛藤の末に生後7か月のメスのヒマラヤンをお迎えしたえみまるさんに、決断の経緯と投稿の反響を聞いた。
葛藤の末に購入したという生後7か月のメスのヒマラヤン【写真:ツイッター(@emimaru_g_g)より】
「保護猫派なんですが悩んでます よく行くホームセンターでは動物販売していて猫ちゃんがいるんです 最初27万で売られていたヒマラヤン この前みたら20万になってたのだけど、今日見たら10万になってた もう結構大きい 可哀想で見るのが辛い 旦那様は飼う?と聞いてくれました 答えがわからないです」
今月12日、猫の購入に迷いSNS上に意見を募ったえみまるさんの投稿は、2000件を超えるリツイート、4万件以上のいいねを集めるなど話題に。
続く投稿では
「ちなみにうちには既に3匹保護猫がいます 猫達の相性も不安です」
「今日の夕方主人と一緒にホームセンターへ行ってみる事になりました 悩む私を見て、行こうと誘われました 店員さんに聞きたい事もあるので、行ってこようと思います」
「例のヒマラヤンさんです ペットショップのケージが今日リフォームされて広くなってました 天井が高くなってました」
と揺れる胸中をつづっている。
えみまるさんの投稿には
「私は保護猫にしてもショップ猫にしてもご縁が全てだと思ってお迎えします。だって約20~30年これから暮らすのですから」
「酷な話にはなりますが、すでにいらっしゃるのであれば買わないことをおすすめ致します。ペットショップ個体は寿命も短く病気リスクも高いです」
「ペットショップにいる子たちを見ると本当に冗談抜きで胸が張り裂ける思いです」
「売れ残った子は繁殖の他、どんな選択肢があるのかは不明です。お迎えする事は根本的な解決にはなりませんが、その子の安全は見過ごせないと思います。難しいですね」
と賛否両論のさまざまな意見が寄せられている。
最初の投稿から3日目の15日、えみまるさんは「ここ数日沢山の方に見守って頂きありがとうございました 沢山考えました 木を見て森を見ずとのご意見も沢山頂きました それ以上に家に迎える事に賛同して頂けた事にも驚きました 出した結論は家族になってもらう 一生幸せにします です 今まで気にかけて下さった方々、ありがとうございました」とヒマラヤンの購入を報告。
腕の中に収まる愛らしい表情を投稿している。
“家族になる”ヒマラヤン…3匹の先住猫との最新ショット
「生体売買には反対で、猫は保護するものだと思っていた」という投稿者
元々実家で保護猫を飼っていたというえみまるさん。自身の保護歴は4年で、雨の日に車道の脇で拾ったハチワレ、お店の裏で骨と皮だけにやせ細っていた黒猫、車のボンネットに潜んでいたサバトラと、これまでに3匹の野良猫を保護し育てているという。
一連の経緯について、えみまるさんは「猫たちのおやつやご飯を買うホームセンターで2か月ほど前に子猫を見かけ、『うわー、ブランド猫ってこんなに高いんだ』『良い家族にあえるといいね』と思いながらも、最初は特に気に留めていませんでした。それが見るたびにちょっとずつ大きくなっていき、ある日27万円の値札が20万円になり、生後7か月になる頃には10万円に……。段々と、狭いケージでいつも寝ている彼女がかわいそうで、見るのがつらくなってきて。行くたびに、今日はいませんように、新しい家族に迎えられていますようにと思っていました」と説明する。
見かねた夫から「飼う?」と聞かれるも、「すぐに返事ができませんでした。店頭での生体売買には反対で、猫は保護するものだと思っていた」。
売れ残った猫はどうなるのか調べたところ、殺処分にはならないものの、ブリーダーに返品され繁殖用にされたり、譲渡会に出されるという事実を知った。
「ここで買ってしまったら店頭販売はなくならない」「買ってもすぐに新しい子が来る。その後ろにはさらにケージに入れられる子がいる」「全ての売れ残った動物を引き取ることはできない」「先住猫たちはどうなってしまうんだろう。うちでうまく暮らせるだろうか」。
いくら悩んでも答えは出ず、SNS上で意見を求めたという。
「同じように売れ残った子を購入した人たちからの『うちも同じです!』というコメントを見て『だから店頭での生体売買がなくならないんだ』『私も今同じことをしようとしている』と思ってしまったり、『生体売買につながるから反対だ』という意見に正論だとも思いました。もう頭の中はぐちゃぐちゃで、たくさんの方が今の生体売買の制度に思い悩んでいるのだと感じました。全ては救えない。最終的に行き着いた答えは、今目の前にいるこの子を幸せにしたいということでした」
今回の投稿と、それに寄せられた反響を受け「今回のことがきっかけで、たくさんの人に生態販売について考えてもらい、良い方向に向かっていけばいいなと思います。血統書付きが悪いとは思いませんし、良いブリーダーさんもたくさんいます。飼いたい人は、面倒でも良いブリーダーさんから直接購入してもらいたいです」とえみまるさん。
ペットビジネスにどう向き合えばいいのか。
答えのない問いは続いている。
ENCOUNT編集部