犬猫チップ登録確認を 法施行前とは別の届け必要 義務化8カ月(鳥取)
2023年2月6日(月)
ペットショップなどが販売する犬や猫にマイクロチップを装着し、環境省のデータベースへ登録することが義務付けられた「改正動物愛護管理法」が2022年6月に施行され、8カ月が経過した。
新たに犬猫を飼う人は、所有者情報を登録しなくてはならない。
一方、施行前にチップを装着・登録していた犬猫は、同省とは異なる民間のデータベースで管理されており、新制度に登録済みと勘違いしている飼い主も多く、専門家は新たに登録することを推奨する。
マイクロチップは首の後の皮下に注射する要領で埋め込む=倉吉市八屋の山根動物病院
■異なるデータベース
「これだけ災害があると、首輪では心もとない。迷子になっても、飼い主の所に確実に帰ってくるのはチップを入れている犬猫だけ。とにかく装着を」と呼びかけるのは、獣医師で動物臨床医学研究所(倉吉市八屋)の高島一昭所長。
チップは、同法施行前に装着・登録していても、登録先が新しくできた環境省のデータベースとは違う。
施行前の登録先は日本獣医師会が運用する「AIPO(アイポ)」をはじめ、Fam(ファム)、ジャパンケネルクラブなど複数の民間機関。
施行後も自分が登録した先のデータベースで照会しない限り、飼い主の情報などは得られない。
迷子犬猫が保健所に連れて行かれた場合、チップを装着していると同省とアイポでは照会できるが、それ以外の民間は共用されていないため、飼い主を探すことはできない。
新制度では、自治体のシステムが整っていれば、犬の鑑札装着が不要になることもメリットの一つ。
鳥取県内では米子市のみが対応しており、同市では今年1月末までに、275匹の犬がチップの情報登録で鑑札の交付なしで登録された。
しかし、施行前に民間登録のチップを入れている飼い主の中には「チップがあるのに鑑札が必要なのか」と困惑したり、狂犬病予防注射済み票の交付時に初めて登録が済んでいないことに気付いたりすることもあるという。
義務化された指定登録機関が、アイポを運営する日本獣医師会であることも混同してしまう要因となっている。
(写真:日本海新聞)
■期待される運用
法改正施行前から飼っていた未装着の犬猫については、装着は努力義務にとどめられたが、飼い主のチップに対する関心は高い。
県獣医師会が、装着や登録を後押ししようと独自に一部助成を行ったところ、本年度の約200匹分は既に終了。
新年度も約200匹分を助成する予定だ。
高島所長は「災害で亡くなった犬猫や道路でひかれて死んでしまった猫などを、自治体がマイクロチップを読み取って飼い主に連絡するようなシステムも構築してほしい」と話す。
ミニクリップ
犬猫のマイクロチップ装着・登録 マイクロチップは直径1・2~2ミリ、長さ8~12ミリの円筒形の電子器具。
チップ内には15桁の生体番号が記録されており、専用のリーダーで数字を読み取る。
データベースで飼い主の名前や住所などの情報が分かる。
チップは共通利用でき、登録のために新たに入れ直す必要はない。
▽迷子犬猫が飼い主と再会できる
▽犬猫の違法な遺棄が減る
▽犬の鑑札代わりにすることができる
―などの役割が期待される。