「手放したい」「飼って後悔」柴犬を検索した結果に驚き…
「手がかかるのは数年、簡単に捨てるとか言わないで」柴飼いさんが伝えたいこと
2022年8月13日(土)
14歳になる柴犬と暮らす、柴犬ウィッシュ(@shibainu_wish)さんのツイートが話題です。
そのツイートとは、「柴犬って検索したら[手放したい][飼って後悔]とか出てくるんだけど待ってくれ。
確かに若い柴犬は元気有り余ってるから暴れん坊だし体力もいる。
でもそれもたった数年のこと。
永遠に手がかかるわけじゃないんだから、簡単に捨てるとか保健所とか言わないでほしい。
あと柴犬はめちゃくちゃ賢いゾ 」というもの。
世界的な「柴犬ブーム」に加え、コロナ禍以降の在宅勤務でお家時間が増えたことから、近年、ペットとして「柴犬」を迎える人が急増しています。
しかし、「生き物」との暮らしはSNSで見る「可愛い」だけでは済まないのが現実。
投稿者の柴犬ウィッシュさんにお話を聞きました。
子犬期も可愛いし、おじいわんになってもずっと犬は可愛い♡(提供:柴犬ウィッシュさん)
◆「家族」を簡単に手放すなんて…
ーー「手放したい」「飼って後悔」とは、心が痛いワードですね。
「Twitter上で柴犬を飼いにくいと思っている方がいることを知り、『柴犬 飼いにくい』というワードで検索したところ、他の人はこちらも検索…という欄に、『柴犬 手放したい』『柴犬 飼って後悔』という検索結果が出ていました。知恵袋などに柴犬に手を焼いている方がいると知り、ツイートした次第です」
ーー柴飼いさんの1人として、今回の検索結果をどうご覧になりましたか?
「一度家族になった存在を簡単に手放すなどおかしいのではないか?もし人間の子供であれば、手がかかっても簡単に手放すという発想にはならないはず。なぜ動物なら捨ててもいいという考えになるのかわからない…と思いました。ペットショップなどで売られている柴犬は、他の犬種に比べて値段が安く、しかも赤ちゃん時代はとても可愛くて人気です。だからこそ安易に手を出し、アクセサリー感覚で見せびらかす人もいるのだと思います。コロナ禍で自宅待機やテレワークが増えたため、暇つぶしで飼う方も増えたのかもしれません…」
「柴犬って検索したら[手放したい][飼って後悔]……待ってくれ。柴犬はめちゃくちゃ賢いゾ」(提供:柴犬ウィッシュさん)
ーーもうすぐ14歳になる柴犬のウィッシュくんと暮らす中で、「柴犬」は飼うのが難しい犬種だと感じますか?
「当初、柴犬は気難しく、しつけが大変だと思っていましたが、実際飼ってみるとそんなことはなく、人間の子供よりもずっと手間がかからないと思いました。私は犬を飼うのも柴犬を飼うのも、ウィッシュが初めてでしたが、特にこれと言ったしつけはせず、トイレや基本的なコマンドを教えるくらいで、後は自由にさせていました。もちろん幼少期は暴れん坊で、毎日家の中をグチャグチャにしたり物を壊したりと大変ではありましたが、それは人間の子供でも同じだと思うんです」
◆柴犬と向き合うなら「飼い主側の器の広さ」が必要
ーーやんちゃ期や柴犬特有の頑固さにはどんな対処を…?
「柴犬と向き合うには、多少のことで叱らないこと。幼児みたいなもので、手がかかって当然と考えるなど、飼い主側の器の広さが必要ではないかと思います。私自身、ウィッシュがイタズラをした時に手をあげたことは一切ありません。暴力は犬にとっても怖いことですし、信頼を失う可能性の方が大きいですからね。また、暴れん坊期も永遠に続くわけではなく、いずれ落ち着いてきます。それまではこちらも、子供と遊ぶ感覚でウィッシュと格闘したり、家の中で追いかけっこをして遊んでいました」
◆家族になれて良かった
ーーもともとどんなきっかけで「柴犬」と暮らすことに?
「祖父母を続けて亡くし、家の雰囲気が暗くなった時、近所のペットショップでウィッシュに出会いました。その日は買う予定ではなかったのですが、ウィッシュを抱っこした幸福感で購入を決めました。つまり、私も批判されやすい衝動買いをしてしまったと言えます…。けれどウィッシュと家族になれてとても良かったと思います。家の中はにぎやかになり、お留守番中のウィッシュは今日はどんな悪いことをしているのか…とワクワクしながら家に帰っていました」
ーー「柴犬は賢い」とツイートされていましたね。
「飼い主への信頼も厚く、家に帰れば大喜びで迎えてくれます。かと思えば、ツンデレなところも魅力で、飼い主が家に帰ってきたのに目もくれず、無視してるのかと思えば尻尾を嬉しそうにパタパタ振ったり、名前を呼ぶと耳を平らにしながら走り寄ってきます。本当はものすごく嬉しいのに、それを悟られないように平静を装ってる姿がとても可愛いです」
ーーウィッシュくんは緑内障で両目の眼球を摘出していてお目めが見えないのだとか。
「ウィッシュは表情が豊かで、ニコニコ笑ったり、鼻に皺を寄せて怪訝そうな顔をしたり、目がなくても顔や雰囲気で喜怒哀楽がわかり、コミュニケーションが取りやすいです。ちゃんと家の中の涼しい場所を理解して、扇風機の前を陣取ったり、クーラーの効いた部屋でヘソ天になって寝ていたりします。とても無防備で、多少突っついても爆睡して起きなかったり、寝顔がブサイク…なのも可愛いです」
子犬の頃は、確かにやんちゃで暴れん坊な時期もありました☆
◆安易に動物への想いを捨てないで
ーーこれから「柴犬」と暮らしたいと考える方にどんなことを伝えたいですか?
「柴犬に限らず、動物を飼うことは簡単なことではないと思います。言葉が話せない分、人間が察してあげないといけないし、我慢強いせいで病気の予兆を見逃さないよう常に観察しておく必要があります。もちろん、食事、病院、ワクチン、保険、トイレシートなどの消耗品など、飼育費用も想像以上にかかります。クラウドファンディングで飼育資金を集める人もいますが、もっての外だと思います。命を預かるからには、それ相応の覚悟が必要です。最期まで面倒を見る自信がないのなら絶対に手を出さないこと。動物のために時間もお金も惜しまないことが大切だと思っています。その課題をクリア出来れば、きっと良いパートナーとして犬や猫と一緒に暮らせると思います。 どんなに凶暴で手がつけられない子でも、飼い主が見捨てた時点でその子の一生は終わりです。飼い主が見捨てれば敏感な動物たちはそれを察知し、飼い主への信頼は失われてしまいます。どうか安易に動物への想いを捨てないでください。ちゃんと『家族』と向き合い、最期まで愛情たっぷりに育ててあげて欲しいです。動物たちはきっと想いに応えてくれると思います」
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「柴犬」は日本の天然記念物に指定されている日本原産の「日本犬」。
見た目が可愛く、小柄で飼いやすいサイズですが、猟犬や番犬として活躍していた犬種であり、自立心や警戒心が強く、活発で頑固です。
ドッグランで誰とでも仲良くなれる洋犬や、抱っこが好きな小型犬と同じ感覚で飼い始めると「後悔」するかもしれません。
しかし、「柴犬」の特性を理解し、個性や性格を受け止めて向き合えば、「柴犬」は楽しくて頼りになる、最高の相棒になってくれるはずです。
柴犬に限らず、「生き物」との暮らしは理想と異なることがほとんどです。
SNSで発信されるペットたちの「可愛い」姿は、飼い主さんたちのたくさんの愛情や工夫、日々の積み重ねがあるからこそ。
見えているのはごく一部分です。 「生き物を飼うと決めた瞬間から、もう家族の一員。人と同じよなぁ」 「ペットショップの方には、不幸な子を作らないために柴犬飼いの大変な部分もちゃんと伝えてほしいと思います」 というリプライも寄せられていたように、何よりも大事なのは、覚悟と責任を持って「家族」と向き合うこと。
困ったり悩んだりした時は、かかりつけの獣医さんや信頼出来るドッグトレーナーさん、また、SNSを通じて柴飼いさんたちにアドバイスを求めてみるのもいいかもしれませんね。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)