【独自取材】ウサギ2匹が2年で200匹以上に…多頭飼育崩壊で前代未聞の事態
2022年8月9日(火)
めざまし8が訪ねたある建物の中にいたのは、所狭しと並ぶケージに入れられたウサギたち。
取材班が数えたところ、その数は実に67匹にのぼります。
この67匹のウサギたちは、神奈川県動物愛護センターが、とある一軒の住宅で飼われていたところを保護したもの。
しかもこれで全てではなく、センターによると、駆けつけた際、住宅には200匹以上のウサギがいたということです。
◆驚異の繁殖力…2匹のウサギがわずか2年で200匹以上に
県の動物愛護センターも前代未聞だという「ウサギの多頭飼育崩壊」。
なぜ、起きてしまったのでしょうか?
県の動物愛護センターに話を聞くと、飼い主から「ウサギが100匹以上いる」と相談が持ちかけられたのは、7月。
飼い主が2020年に購入したのは、オスとメスのウサギ1匹ずつだったにも関わらず、室内で飼育していたところ、次々と妊娠・出産を繰り返し、わずか2年で200匹以上になっていたというのです。
県の動物愛護センターに保護された約70匹の、約3倍もの数。残る約150匹のウサギは、動物愛護団体などに保護されています。
◆かわいいはずのウサギがなぜ…“2つの落とし穴”
ここまで増えてしまった理由には、2つの落とし穴がありました。
1つめは、「行政への届け出義務」の問題です。
近年増加している、犬や猫の多頭飼育崩壊を受け、神奈川県は2019年に条例を定めました。
一部の地域を除き、10匹以上の犬や猫を飼う場合は、行政への届け出を義務づけています。
しかし、ウサギは届け出の対象ではないため、行政は把握できないのです。
2つめは、「ウサギの脅威の繁殖力」です。
ウサギのブリーダーを30年以上続けている専門店のオーナーは、ウサギのオス・メス飼育の危険性についてこう話します。
BUNNY FAMILY YOKOHAMA・オーナー 吉村真由美さん:
相性がいいウサギ同士でしたら、本当にあっという間に交配してしまいます。
ウサギは交尾排卵なので、オスとメスが一緒になった時点で交配してしまうんですね。
ウサギは、交尾をすると高い確率で妊娠する「交尾排卵動物」。
しかも妊娠期間はわずか1カ月で、一度に4~8匹を出産します。
また、生まれた子ウサギも、4カ月ほどで出産可能になるため、家の中で放し飼いされた場合、どんどん数が増えていくというのです。
神奈川県動物愛護センターは、最初の子ウサギが生まれた時点で不妊手術をするなど、こうなる前に相談してほしかったと話していました。
県の動物愛護センターに保護されたウサギの譲渡に関しては、ホームページで最新情報を確認してほしいとしています。
【画像】所狭しと並ぶ、保護されたウサギのケージ(神奈川県動物愛護センター)
多頭飼育崩壊で保護のウサギ譲渡へ
神奈川県や保護団体、求む飼い主 9月3日に見学・譲渡会
2022年8月30日(火)
アニプロが保護しているウサギ。新たな飼い主を待っている=アニプロ提供
県西地域の住宅で発生したウサギの多頭飼育崩壊を巡り、約210匹のウサギを保護した県動物愛護センター(平塚市土屋)と一般社団法人「アニプロ」が9月3日、同センターで合同の自由見学・譲渡会を開く。
事前予約制で、健康状態の良いウサギ約100匹を譲渡予定で、責任をもって最後まで飼育できる飼い主を探している。
同センターは「ウサギの飼育を検討している方にはぜひ一度足を運んでほしい」と呼び掛けている。
飼い主からのSOSを受けて8月上旬に、緊急保護されたウサギは、ペットショップで人気が高いという品種のネザーランド・ドワーフ。
室内で放し飼いされていたことから、同センターなどは室内で単独で飼育することを推奨している。
同センターはすでに約10匹を譲渡したほか、譲渡希望者の面接を随時行ってきた。
アニプロにも多数の問い合わせが寄せられ、順次譲渡しているという。
9月3日の合同譲渡会では、同センターは午前10時~午後4時に、ガラス窓越しにウサギを見学できるスペースを用意し、去勢手術を済ませた約50匹のオスの譲渡希望者の面接を受け付ける。
県内在住者限定で、後日無償で譲渡する。
アニプロは午後1時15分~同3時に、病気や授乳中などのウサギを除いた50~60匹を有償で譲渡する。
県外在住者や、当日譲渡にも対応する。
見学会は同センターのホームページから予約する。
譲渡に向けた面接予約や問い合わせは同センター電話0463(58)3411。
同センターは小田急線秦野駅からバスで約20分の南平橋バス停から徒歩10分。
多頭飼育崩壊のウサギ譲渡へ/神奈川新聞(カナロコ) - YouTube
2年で2匹→200匹“多頭飼育崩壊”ウサギが住宅占拠(2022年8月11日) - YouTube
ウサギが住宅“占拠” 多頭飼育崩壊 繁殖力高く2匹が2年で200匹以上に
2022年8月7日(日)
神奈川県内の住宅の一室で200匹以上飼われていたウサギ=4日
神奈川県の県西地域で30代夫婦が飼育していたペットのウサギ2匹が、わずか2年足らずで200匹以上に繁殖し、自宅内を“占拠”するほどの多頭飼育崩壊が起きた。
犬や猫の多頭飼いのケースは多いが、飼い主のSOSを受けた県担当者やボランティアも「経験上初めてのこと。ウサギに詳しい職員は限られて現場も混乱している」と困惑。
今月5日までに1匹を残して全てのウサギが保護され、新たな飼い主を待っている。
夫婦は2020年8月から9月にかけてウサギ2匹を県内のペットショップで購入。
室内で飼っていたところ、1年で約100匹にまで増えたという。
今年7月上旬、県動物愛護センターに相談し、管轄の保健福祉事務所が自宅を訪問。
さらに動物愛護活動に取り組む一般社団法人アニプロも支援に加わり、今月5日に同センターが約60匹を引き取り、アニプロも約150匹を保護した。
ウサギのメスは生後4カ月ごろから妊娠が可能という。
数秒で交尾を終え、約1カ月の妊娠期間で7~8匹を産むこともある。
今回のケースでは保護までに約1カ月がかかり、その間もウサギは増え続けた。
アニプロの原奈弓代表理事は「行政が足踏みをしている間にもウサギの繁殖は続いてしまう。素早く対応すべきだった」と指摘する。
県では19年3月、10頭以上の犬や猫を飼育する場合に届け出を義務付ける「多頭飼育届出制度」を新設したが、ウサギは対象外。
同センターではここ数年でウサギの多頭飼育による引き取り事例はなく、担当者は「猫も収容可能数の2倍を保護しており手一杯な状態だが、緊急性を持って対応すべき案件だった」と話した。
同センターは今後、ウサギの不妊手術を行うなど準備が整い次第、譲渡を予定している。
アニプロは飼い主の募集を始めており、問い合わせはホームページ(https://www.ani-pro.org/)から。
神奈川新聞社
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