『カピバラ』の歯は「一生伸び続ける」はホント?
「じつは走ると時速50キロ」
意外な一面を飼育員に聞く
2022年7月31日(日)
夏休み真っ只中。多くの子どもが訪れるレジャー施設や動物園などで、近年人気の動物の一つが「カピバラ」です。
キャラクターにもなっているほど、そのかわいさやのんびりしたイメージで癒し系の動物として高い人気です。
のんびりかわいいイメージの『カピバラ』 意外な一面を飼育員に聞いた
兵庫県内では、農業公園「淡路ファームパーク イングランドの丘」(南あわじ市)に6頭飼育されています。
そのうち4頭は新たに加わった仲間で、7月6日から一般公開が始まりました。
1歳半の「ミミ」、生後11ヶ月の「スモール」、生後9ヶ月の「かんな」、生後4ヶ月「ゆさ」。
いずれもメスで、今年4月22日に「とくしま動物園」からきました。
現在、元から同園で飼育されているオスの「ネロ」と共に、園内の展示施設「カピバラハウス」で暮らしています。
そこで、意外と知らないカピバラの生態について、イングランドの丘飼育員の後藤敦さんに聞きました。
――カピバラは、どのような動物なのでしょうか?
【後藤さん】
ネズミの仲間で、現在地球上に生息している最大のネズミです。
大人になると1.0~1.3メートルほどの大きさまで成長します。
日本でも多くの動物園で飼育されていますが、野生のカピバラは、南アメリカ東部アマゾン川流域を中心とした温暖な水辺に生息しています。
ちなみに「カピバラ」は、現地の言葉で「草原の支配者」という意味があります。
――カピバラは、普段何を食べているのですか?
【後藤さん】
草食のため、野生のカピバラは水辺の植物を主食にしています。
当園では、牧草、野菜、大型草食獣用の“ペレット”と呼ばれる人工飼料を中心に与えています。
――大きな歯が特徴的ですよね。歯が伸び続けるというのは本当ですか?
【後藤さん】
はい。
カピバラはネズミと同じげっ歯類で、一生歯が伸び続ける動物です。
げっ歯類特有の“伸び続ける歯”は、普段から繊維質のものを食べることで自然に擦り減っていったり、野生下では、硬い木や岩などをかじって、伸び過ぎないよう自分で調整したりしています。
そのため、飼育下でもかじれる木材などを与えて自分で調整できるようにしています。
カピバラをはじめげっ歯類は、手ごろな硬いものをかじりたがる習性があることから、プラスチックなど、かじって破壊されやすいものは飼育用品や展示場の部品には極力使わないようにしています。
――プールや風呂にのんびりと浸かっている姿が印象的ですが、水の中で過ごすことが多いのでしょうか。
【後藤さん】
アマゾンに生息するカピバラは、天敵から身を守るため水辺で過ごすことが多いです。
また、暑さをしのぐために水中で過ごしたりします。
カピバラの顔をじっくり観察してみてください。
横から見ると耳、目、鼻が一直線に並んでいますよね。
水中に身を隠しながら、陸上にいる天敵の様子をうかがうことができるようになっているのです。
全く違う仲間でも、カバ、カエル、ワニなど水辺で暮らす動物には同じような特徴が見られます。
また、指と指の間には水かきがあり、潜水が得意です。
水に潜る際は耳を閉じることができますし、水中でも目を開けて泳ぐこともできるんです。
――意外な一面もあるとか?
【後藤さん】
カピバラというとのんびりしたイメージがありませんか?
しかし、じつは逃げ足が速く、なんと時速約50キロで走ることができるんです。
人間が全速力で走っても追いつくことはできません。
ただ、これだけの速さで走るのは外敵から逃れるとき。園内のカピバラハウスで見ることはできませんが、ガラス張りのプールでは水中に浸かっている様子を間近でご覧いただけます。
夏休みは、かわいいカピバラ達に会いに来ていただきたいです。
ラジオ関西
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