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ペットロスを乗り越えよう!

■ ペットロスは正常な反応
私たちは家族や恋人や親しい友人を亡くしたり、別れたりして失ったときには、悲しみや悔いで落ち込むことがあります。
また、ペットに対しても、同じ様な感情を持ってしまいます。
私たちにとって何年間も共に暮らしたペットは家族です。
そのペットとの別れや死に対して、悲しんだり、苦しんだりするのはしごく自然で正常な反応です。
この反応をペットロスと呼んでいます。
ペットロスは、ペットと共に暮らした人にはだれにでも起こることです。
ですから、ペットロスとはどのような状態なのかを知り、重症にならないようにする手だてを講じておきたいものです。

■ ペットロスによる心身的な変化
ペットロスになると、精神的、身体的にさまざまな変化が起こることがあります。
精神的には、不安、集中できない、落ち着かない、悲観的、罪悪感を持つ、孤独感が強くなる、パニックに陥る、死んだペットの姿が見えることがあるなどの症状がでることがあります。
身体的には、すぐに涙が出る、食欲不振・過食、不眠、下痢・便秘、吐き気、腹痛、頭痛、頭が重い感じ、肩こり、しびれ、めまい、難聴、全身倦怠感、やる気がおこらない、じんましんなどの症状がでることがあります。
これらの症状は時間が経つにつれ、次第に軽くなってくるはずですが、症状が長く続いたり、症状が重くなっていったら、病院で診てもらうなり、カウンセラーに相談しましょう。

■ ペットロスを乗り超えるための5つのステップ
ペットとの別れや死に対して、私たち飼い主は一般的に、否定⇒・交渉⇒・怒り⇒・受容⇒・解決 のステップを踏むといわれています。
<ステップ1・否定>
ペットが死んだときやいなくなったとき、病気などで死が間近いと知ったとき、「まさか」「うそ」などという現実を否定する思いや言葉がわき上がってきます。
これは、精神的なショックから逃れようとして起こる自己防衛本能です。
この「否定」から抜け出すには時間が必要で、その時間の長さは人によってさまざまです。
短い人では数時間、長い人では数日かかることもあるそうです。
何ヶ月もかかることはありませんが、現実を直視するにはそれなりの時間が必要なのです。
<ステップ2・交渉>
「交渉」のステップとは、飼い主がペットの置かれた現実が回避されたり、飼い主自身が望むような状態になることを願う時期です。
「神様、どうか、この子を生き返らせてください!」「私の好きな食べ物を断ちますから、この子の病気を治してやってください」「これからは、ひとりで留守番なんかさせないから、がんばれ!」などと、交渉の相手は神様やペット自身であることが多いです。
<ステップ3・怒り>
「怒り」のステップは、ペットがそのようになったのは、誰かが悪いからだ、誰かのせいなのだと思い込む段階です。
怒りの矛先は、獣医師であったり、家族であったり、自分自身であったりします。
「自分が鎖をはずしてやったばかりに車にひかれてしまった。私が殺したようなものだ。」「もっと早く病院につれていってやれば助かったのではないか。」など、自分に対する怒りは後悔となって、尾を引くことがあります。
<ステップ4・受容>
怒りがおさまった後に、ペットの死やペットとの別れという事実を理解し、それを受けとめられるようになります。
これが「受容」のステップ。
しかし、現実を受けとめたからといって、悲しみや苦しみが消えるわけではありません。
いや、喪失感を埋めることができずに、より一層深い悲しみを味わうことになる場合もあります。
しかし、その悲しみや苦しみは一生つづくわけではなく、少しずつ薄らいでいくものです。
アメリカの精神科医によると、ペットロス体験者が心の痛手から立ち直るには、約10か月間かかるのが平均的だといいます。
<ステップ5・解決>
悲しみが薄らいで立ち直るのが「解決」で、最後のステップ。
解決は、ペットのことを忘れ去るということではありません。
ペットとの生活をいい思い出にして、心身の健康を取り戻し、普通の生活を送れるようになることです。
中には悲しみが薄らいで、普通の生活をすることがペットに悪いのではないか、「自分は冷たい飼い主なのではないか」などと罪悪感を抱く人もいますが、そのように思う必要はありません。
いつか悲しみは薄らぎ、また新しいペットと暮らしたいと思えるようになるのが「解決」だからです。
ペットの死を経験した人の中には、「動物は死ぬから嫌だ。死ぬのを見るとかわいそうだから、二度と飼いたくない」「前に飼ったペットに悪いから、新しいペットは飼わない」という人がいます。
ペットの寿命は人間の寿命より短かく、私たちはペットの死を看取らなければならないのです。
ペットの寿命を否定するのではなく、短くてもペットが私たちに与えてくれた素晴らしい暮らしを感謝し、ペットの死を安らかに受けとめたいものです。

■ ペットロスの悲しみに対処するために
ペットとの別れや死に遭遇したときに起こる悲嘆に、どう対処したらいいのでしょうか。
2つの作業が必要だといわれます。
1つはペットの別れや死を受け入れること、もう1つは別れや死によって引き起こされる感情や生活の変化とうまくつき合うことです。
人が亡くなった場合では、お通夜、お葬式、初七日、四十九日、新盆、一回忌などを行い、親しい人たちが集まり、家族といっしょに故人を偲んでくれます。
ペットの場合は、人のようにいっしょにその死を悲しみ、偲んでくれる人が少ないために、悲嘆が長引くことがあるようです。
ペットを失ったことでいっとき引き起こされる悲しみの感情を、自分だけで抑えるのは並大抵なことではありません。
こみあげる感情を和らげるのに、他の人に救いを求めることも必要なことです。
アメリカではペットロスの相談窓口がたくさんあって、ペットを失った悲しみや苦しみ、ペットとの楽しい思い出などを聞いてくれるのだそうです。
大抵の人は話を聞いてもらったことで気分が落ち着き、現実を受けとめることができるようになっていくといいます。
日本ではペットロスに対する支援体制がまだまだですので、家族やペットを飼った経験のある友人に思いの丈を聞いてもらいましょう。

■ ペットロスに対する具体的な処方箋
ペットロスに陥ったときの具体的な対処方法としては、つぎのようなことをしてみてはいかがでしょう。
1.悲しかったら涙を流すなど感情を素直に表現する。
2.食事は必ずとる。
3.眠れなくても、横になって身体を休める。
4.何か自分の好きなことをしてみる。
5.定期的に軽い運動をする。
6.友人や知人と会い、おしゃべりをする。
7.家の模様替えをする。
8.ペットのものを整理する。
9.お葬式をする。
10.お墓を作り、お参りに行く。
11.ペットの写真を飾る。
12.ペットの一部をアクセサリーにして身につける。
13.アルバムや本などを作る。

■ ペットの弔いが大事
ペットの死に対しては、その死を弔って心の整理をつけることが大事です。
自分の家に庭があれば、そこに埋めてやってもいいでしょう。
お寺の中にはペットを埋葬してくれるところもありますし、ペット専門のペット霊園が全国各地にあります。
この場合は火葬してお骨を埋葬します。
葬儀をして、ペットの死を人の死と同じように弔い、ペットに対しての愛情と感謝の気持ちを表現するというのもいいかもしれません。
葬儀はペットといっしょに過ごす最後の時間で、ペットの死を現実として受け入れ、ペットとの素晴らしかった暮らしをいい思い出に変えていくいい機会となります。
また、葬儀に参加してくれる家族や友人などと自分の感情を共有することができ、悲しみや不安を和らげることができます。

(続く)


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