「買ったらすぐ死んだ」「足の踏み場もなく悪臭放つ飼育場」
ブリーダーからの犬猫購入に気を付けて!
2021年12月4日(土)
「かけがいのない家族」であり「生涯の友人」でもある犬や猫などのペット......。
2020年の1年間で新たに飼われた犬と猫の数は、合計約95万匹(社団法人ペットフード協会調べ)で、これは2019年に生まれた赤ちゃんの約86万人を上回る数字だ。
最近は、インターネットの紹介サイトなどを通じてブリーダー(犬猫の繁殖業者)から直接購入する人が増えているが、「購入後にすぐ死んでしまった」「キャンセルを申し出たら高額な違約金を請求された」 などのトラブルが急増している。
なかには、劣悪な環境で飼育されて悪臭を放つ犬や猫を買わされた人もおり、国民生活センターは2021年11月25日、「ブリーダーからの直接購入に気を付けてほしいこと」という警告リポートを発表した。
◆「先天性の心臓病で1年も生きられない犬を」
ブリーダーとは、犬や猫などペットを繁殖させ、ペットショップや卸売り業者に販売する業者。
動物愛護管理法に定める第一種動物取扱業として自治体への登録が必要だ。
命ある動物を取り扱うプロとして、動物愛護の法令を遵守するよう義務付けられている。
最近は、インターネットのブリーダー紹介サイトや自身のSNSを通じて、直接お客に販売するケースが増えている。
このためトラブルも増えており、2017年には33件だったのが、2020年には69件に倍増した。
お客にとっては、先天性の病気を持った犬を買わされても、数日飼っただけで愛情が湧いてしまうため「返品」するわけにいかないことが、通常の販売トラブルと大きく違うところだ。
こんな事例が多い。
【事例1】
犬の購入時に健康状態の説明は一切なく、後日先天性の心臓病が判明したブリーダー紹介サイトで好みのチワワを見つけた。
ブリーダーと数回やり取りをすると、「まだ掲載していない希少な毛色のチワワがいるので見に来ないか」と連絡があり、ブリーダーを訪ねた。
狭いマンションの一室でケージが山積みになっており、子犬が多数暮らしていた。
子犬を見せてもらうと、元気に走り回った。
気に入ったので、その場で約80万円を支払って引き取ったが、健康状態の説明や契約書の交付は一切なく、領収書を渡されただけ。
数日後、ワクチンを打つために動物病院に行くと、「この子犬は先天性の心臓病を患っている。1年も生きられないだろう」と言われた。
ブリーダーに連絡すると「返品してくれれば全額返金する」と言われたが、愛着が湧いているので返品ではなく治療費を支払う対応を取ってほしい。
(2021年8月、40歳代女性)
【事例2】
事務所は足の踏み場もない不衛生な状況で、購入した犬から悪臭がしてすぐに死亡したインターネットで検索し、口コミがよかったブリーダーに問い合わせ、約10 万円の犬を希望した。
事務所に訪問すると、欲しい犬は悪臭がしたが、顔が可愛かったので購入を決めた。
事務所には他にも狭いケージに入った犬がいて、足の踏み場がない状況で、臭いがきつく不衛生だった。
契約書は受け取っていない。
その後、犬が下痢をして翌朝にはぐったりしていたので動物病院に連れて行った。
着いた時には心肺停止で、蘇生措置をしたが死亡した。
ブリーダーに電話すると、返金や代替の犬で対応すると言ったが、その後「当方の獣医師の判断により、補償対象外なので補償はしない」とメールが届いた。
納得できない。
(2021年7月、60歳代女性)
【事例3】 ブリーダーが行方不明になり、血統書が受け取れない
ブリーダーが行方不明になり、血統書が受け取れない半年前インターネット広告を見て、ブリーダー宅で子猫を購入した。
血統書は去勢したら渡される約束になっていた。
来週去勢予定なので、ブリーダーに電話をしたが、現在使われていないとのアナウンスが流れた。
SNSのアカウントも退会しており、ブリーダー紹介サイトからも情報が削除されていた。
連絡方法がなく困っている。
(2021年5月、20歳代女性)
【事例4】
トラブル解決のため、ブリーダー紹介サイトに問い合わせようとしたが、利用規約に売買には関わらないと書いてあったブリーダー紹介サイトで、気に入った子猫を見つけて問い合わせをした。
「他に購入希望者がいるが、約50万円の半額を内金として入れてくれれば予約済みにしておく」と言われ、入金した。
ブリーダー宅に出向いて猫を受け取り、残金を支払った。
1週間後、猫が突然呼吸困難になったので医者に連れていくと、先天性の病気だと診断された。
猫を返そうとは思わないが、ブリーダーに憤りを感じる。
ブリーダー紹介サイトに問い合わせようとしたが、利用規約では「売買には関わらない」となっている。
どうしたらよいか。
(2021年4月、40歳代男性)
可愛い子猫は元気に育ってほしい(写真はイメージ)
【事例5】
生まれる前の犬を解約すると高額な違約金を求められたインターネットで、生まれる前の豆柴犬を予約販売するサイトを見つけた。
ブリーダーを訪ね内金6万円を支払い契約した。
豆柴犬本体は60万円で基本訓練やマイクロチップ装着費用、避妊手術代で合計約80万円となった。
契約後自宅に帰ると、家族に反対されたので解約することした。
しかし、ブリーダーから契約に従い契約代金総額の3割である約25万円を違約金として支払うよう求められた。
確かに契約書にはその旨の記載があるが、不利な条項だと思う。
(2021年4月、60歳代男性)
【事例6】
子猫の購入予約をキャンセルすると、予約金は返金できないといわれたブリーダー紹介サイトに掲載された生後2か月のメス猫が気に入り、子猫の見学を申し込むと、ブリーダーから希望日時の見学を承諾したとの返信があった。
メールには「子猫の販売は猫舎を見学した順ではなく、購入予約した順で決まる。
購入予約金5万円を振り込んだ人が優先する」とあったので、すぐにブリーダーの口座に5万円を振り込んだ。
しかし、都合で猫が飼えなくなり、翌日キャンセルの連絡をすると5万円の購入予約金は一切返金できないと返信があった。
返金しない理由をサイトに聞くと「予約金の取り扱いはブリーダーごとに決めており、ブリーダーのページに掲載されている」との回答だった。
サイト上でブリーダーと予約金についてやり取りをした際には、返金しない旨の説明はなかった。
(2021年4月、40歳代男性)
◆「ペットは生き物。生涯一緒に暮らす覚悟で」
ブリーダーからペットを購入する際の注意点(国民生活センター作成)
こうしたケースに共通しているのは、次の点だ。
(1)健康状態などの説明が行われていない、契約書が渡されていない、などブリーダーの説明や対応に問題がある。
(2)病気が判明した際の対応などはブリーダーごとに定めており、ブリーダー紹介サイトはトラブルが発生しても原則介入しない。
(3)お客に現物確認・対面説明を行う前に売買契約を結んだり、劣悪な環境で犬や猫を飼育したりするなど、ブリーダーにも動物愛護管理法上の問題行為がある。
一方、お客側にも問題点が少なくない。
(1)お客自身がペットの飼育環境や、契約内容を確認せずに契約をしている。
(2)お客の都合でのキャンセルしたうえ、事前にキャンセル時の対応を確認していない、などだ。
国民生活センターではこうアドバイスしている。
(1)ブリーダーから購入する場合には、第一種動物取扱業の登録があるかどうか調べたうえで直接会うこと。購入後も長く付き合い気軽に相談できる、信頼できるブリーダーかどうかを確認する。
(2)複数のブリーダーを訪ね、飼育施設がキレイか、動物が汚れていないか、元気に走り回っているかなどを確認する。
(3)購入する際は飼育施設でペットを確認し、対面での説明を必ず受ける。その際、キャンセル時などの対応を必ず確認する。
(4)ブリーダー紹介サイトは、基本的にトラブルに介入せず、当事者同士で解決すると定めているところが大半だ。利用規約をよく確認する。
そして、最後にこう求めている。
「ペットは生き物です。生涯一緒に暮らすことになります。選ぶときはくれぐれも慎重に検討して、安易な購入は避けましょう」
(福田和郎)
詐欺?詐欺まがい? の世の中。
ペットに纏わる問題は多発しています。
ペット販売業者の詐欺行為は厳しく罰せられる社会でなければなりません。
しかし、ここには必ず「売り手」と「買い手」 の問題があります。
「売り手」の問題は多発しており法的措置(例えば免許制導入等)を厳しいものにする大きな課題がありますが、「買い手」の問題も多いのです。
「買い手」自身が何も考えず衝動買いをせず、知識と意識を持ちしっかりチェックした上で判断することが重要です。
「買い手」の安易な行動が「売り手」を助長させていることを認識すべきでしょう。
「買い手」の行動如何によって動物たちの幸不幸が左右されるのです。
世の中は「需要と供給」、モノが売れれば売れるほど値が上がる。偽物まがいの悪徳業者も多発する。
しかし、動物たちはモノではありません。
モノ同様の扱いは許せません!
安易に買う人を止めない限り不幸なペットは増え続けるのです。
(byぬくもり)