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捨てニャいで!

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捨てニャいで!:犬に比べ多い猫の殺処分

2014年11月24日 毎日新聞


引き取りを待つ子猫たち。興味深げにカメラに近づいて来た。奥のガラス越しにも室内を観察できる。
=山口政宣撮影

ペットの飼い主に、飼育の責務があることを明記するなどした改正動物愛護管理法が施行されて1年が過ぎた。
だが、国内では依然として年間12万3400匹の猫、3万8447匹の犬が保健所などに持ち込まれ、殺処分されている(2012年度)。
犬に比べて、犠牲となる猫の数が圧倒的に多い。
各自治体では、殺処分数を減らすための取り組みを進めている。
猫を巡る各地の現状を追った。
【山田一晶】

◇「猫ルーム」を新設−−名古屋市動物愛護センター
今月18日午後、名古屋市千種区平和公園2の市動物愛護センターを訪ねた。
センターは今年3月21日にリニューアルオープン。
従来は引き取りを待つ猫たちを、ケージの中に入れた状態で見てもらっていたが、「猫ルーム」を新設し、室内で伸び伸びと動き回る様子を観察できるようにしたのが特徴だ。
ピンク色の10畳ほどの部屋には、「スタッフ猫」と呼ばれる人間に慣れた成猫と、子猫が計20匹ほど入れられている。
キャットタワー、トイレ、爪研ぎの台などもあり、室内飼いのモデルルームになっている。
猫とのふれあい時間は1日2回。
1回5組程度で、土日などには抽選になることも。
この日は、愛知県稲沢市と北名古屋市から来た女性の親子2人が申し込んでいた。
センターの獣医師、石原万理子さんから、ルーム内での注意事項の説明を受ける。
手を消毒し、室内では基本的に座ったままで、猫が近寄ってくるのを待つ。
他にも、大声を出さない、嫌がる猫を抱きしめたりしない、など。
「人間を怖がるようになってはいけないから」と石原さん。
二重扉から部屋に入ってあぐらをかき、タオルを広げると、さっそく三毛猫と、ロシアンブルーの雑種が近寄ってきて、膝の上に上がって毛繕いを始めた。
この日、デビューしたばかりの小さな黒猫が、所狭しと走り回っている。
大きな成猫は、子猫をいなしながら、私たちのにおいをかいで、部屋の中を巡回している。
10分間のふれあい時間はすぐに終わった。
この日、引き取り手を待つ猫は89匹いた。
譲渡を希望する人は20組。
「『この子が欲しい』というリクエストは受け付けていません。少しでも殺処分を減らすために、協力してもらう趣旨ですから」と石原さんは言う。
引き取りはしなくても、何度も足を運んで猫の様子を見に来る人もいるようだ。
石川登紀子所長は「コーヒーは出ませんが、キャットカフェと違って無料です」と笑った。
ふれあいや譲渡の問い合わせは市動物愛護センター(052・762・1515)。

◇イベントで自治体譲渡増の取り組み 「飼い主が責任を」
東海3県1市で2013年度に殺処分された猫は6291匹。
1481匹だった犬に比べ、4・2倍になる。全国的な傾向と同様だ。
引き取りの有料化や、昨年9月に改正動物愛護管理法が施行され、自治体が引き取りを拒否できるようになったことも殺処分の減少に影響している。
半面、この5年間を見ても、犬の処分数が下げ止まり感がある一方で、猫は依然として多い。
岐阜県では今年4月、美濃市に譲渡用の専用施設「県動物愛護センター」がオープンした。
これまでは、保健所で収容した猫の約76%、犬の約22%が殺処分されていた。
今後はこの数を半減させるのが狙いだ。
各自治体は、定期的に猫の飼い方教室やふれあいのイベントを開くことで、譲渡数を増やし、処分を減らす取り組みを続けている。
ただ、保健所などに持ち込まない代わりに、捨ててしまう例も増えることが予想される。
名古屋市では9月、粘着テープに張り付けた子猫4匹が捨てられていた例があり、話題になった。飼い主が、小さな命の面倒を見るという責任感を持たない限り、犠牲となる猫や犬をゼロにすることは難しいだろう。


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