豪森林火災、野生動物30億匹が被害
焼死したコアラなど WWF
2020年7月28日(火) JIJI.COM(時事通信社)
【シドニー時事】
世界自然保護基金(WWF)オーストラリア支部は28日、豪州で今年2月ごろまで約半年間続いた大規模森林火災によって死んだり、すみかを追われたりして被害を受けたコアラやカンガルーなどの野生動物が、約30億匹に上るとの暫定調査結果を発表した。
同支部は「現代の歴史で野生動物の災難として最悪規模」と指摘した。
調査には国内の大学の研究者らが協力し、日本の面積の約3分の1に相当する1146万ヘクタールを火災で影響を受けた範囲として調査した。
被害の内訳は哺乳類が1億4300万匹、爬虫(はちゅう)類が24億6000万匹、鳥類が1億8000万羽、カエルが5100万匹。
1月時点では火災の影響を受けた野生動物は12億5000万匹との推計を示していた。
死んだ動物だけの数は不明だが、調査に協力したシドニー大学のクリス・ディックマン教授は、火災による食べ物不足などを理由に、生き延びた動物は「それほど多くはない」と分析している。
【関連記事】
30年後に「野生コアラいない」
森林火災で生息地打撃―豪東部州
2020年6月30日(火) JIJI.COM(時事通信社)
森林火災から救出され、野生動物公園の仮設病院で治療を受けるコアラ=1月14日、オーストラリア南部カンガルー島(AFP時事)
【シドニー時事】
オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州議会の上院調査委員会は30日にコアラに関する報告書を公表した。
今年初めにかけて起きた大規模森林火災で生息地の2割以上が深刻な打撃を受けたなどとして、生息地を保護するために州政府が緊急に介入しなければ、2050年までに同州から野生のコアラがいなくなると警告した。
報告書は、州内に生息するコアラはこれまで3万6000匹と推測されていたが、長期的な減少傾向に森林火災に伴う大量死が重なり「古くて、信頼できない」と指摘。
森林伐採などにより生息地の減少や分断が進む中、森林火災で生息地の最大81%が失われた地域があると分析した。