「私に似ている」 保護犬トレーニング通して開いた心
「テテのように自分も変われる」沖縄女子学園の少女
2020年8月6日(木) 琉球新報
殺処分予定だった犬・テテをなでる沖縄女子学園の入所者=7月28日、糸満市の沖縄女子学園
【糸満】
「私に似ている」―。
糸満市の沖縄女子学園に入所している少女が、殺処分予定だったメスの犬・テテとの交流を通して成長し、ゲームクリエイターになる夢に向かって励んでいる。
野犬で動物愛護管理センターに保護されていたテテと少女の初対面は5月末。
「人間に何かされたのかと思うほど、おびえた目をしていた。人間を信じられない様子だった」(沖縄女子学園職員)というテテは当初、誰にも近づかず隅に座ってえさも食べなかった。
その様子を見た少女は、テテの姿に自分を重ね「何とか心を開いてもらいたい」と願い、最初は過剰にテテに触れず、見守る姿勢でテテと接した。
尻尾を丸めておどおどしていたテテも、次第にそっと少女のそばに寄り添うようになり、今では少女のそばを離れず、頭や背中をなでられると、気持ちよさそうに目をつむる。
県は、県公衆衛生協会に委託して「成犬譲渡促進事業」を実施している。
犬猫の殺処分ゼロを目指す県と、再非行ゼロを目標とする沖縄女子学園が協働し、殺処分予定の犬を家庭犬にするためのトレーニングを入所者が担う。
沖縄女子学園では昨年度から取り組んでいる。
少女は動物好きだったこともあり、職員の勧めでトレーナーとなった。
テテという名前は、同じ入所者らと考えた。
「野犬だったが、いろんな人の“手”によって助けられ、ここに来た。多くの手をイメージした」という。
沖縄女子学園の寮主任の嘉陽田亜耶美さんは「彼女はここに来た当初、『誰も信用できない』と言って警戒心が強く、相談もしなかった。でも、テテと過ごす中で表情が柔らかくなった。何かを信じるきっかけになるだろう」と話した。
少女は「テテのように、自分も変われる気がした」と話し、現在はゲームクリエイターという夢の実現のため、社会復帰と大学受験の勉強に励んでいる。
(嘉数陽)琉球新報社