“猫島”の猫が大量死、疑惑の一家に話を聞いた
2019年9月5日(木) NEWSポストセブン
島民約30人の島に、90匹ほどの猫が暮らしていた
「ここ、本当に“猫の島”なの…?」。
遠路はるばる観光に来た子供がそう肩を落としたほど、その島から猫の姿は見られなくなった。
福岡県北九州市の小倉港から約10km離れた小さな離島・馬島。
約30人の島民よりもはるかに多い猫が暮らしていたことから、猫ファンの間では「隠れた猫の名所」として知られてきた。
「2014年、猫が島民の3倍ほどの数に増えた頃、福岡市の市民団体『大切な猫たちプロジェクト』がほとんどの猫に去勢手術や不妊手術を施しました。その様子がテレビで報じられ、“猫島”として広く知られるように。猫好きの観光客もいらっしゃるようになりました」(地元住民)
ところがここ最近、猫が急に激減したという。
「今年8月に調べたところ、90匹近くいた猫が30匹ほどに減ってしまったようで…。こんなに見かけないのはあまりにも異常。どうも虐待や毒殺が疑われているんです」
そう話すのは、島猫の保護に努めてきた島民のAさんだ。
「観光客にも親しまれていた有名な『アニ丸』は、2017年9月に変死しました。口から泡を吹きながら私の家にたどり着き、4~5時間悶え苦しんだ末に絶命したんです。定期船の最終便が出た後だったため救急搬送もできず、とても悔しかったのを覚えています」(Aさん)
「大切な猫たちプロジェクト」によれば、同日に猫の不審死が5件確認されたという。
「去年と今年、私の自宅周辺からは、青い薬品のようなものが付着した魚の切り身が見つかりました。死んだ猫たちはそれを食べたのだと思います」(Aさん)
複数の島民に話を聞くと、ある島民が偶然そのエサを見つけた時、その場で高齢男性の島民Bさんが不審な行動を取っているのを見かけたという。さらに、Bさんの「おれが殺した」という旨の発言を聞いた島民もいたそうだ。
ほかの島民はBさんからの報復を恐れて、通報できないのではないかともいわれている。
これらを受けて、動物虐待に取り組むNPO法人「SCAT」は、動物愛護法違反での刑事告訴を視野に、犯人特定に向け動いているという。
Bさんの自宅を訪ねると、「父は高齢で耳も聞こえないので、私たちが話します」と、息子夫婦が取材に応じた。
「もともと、島全体として『地域猫』を認めているわけではありません。Aさんが小さい頃に猫を飼い始めて、それがどんどん増えたのでは。なかには野良猫化した猫もいて、畑が荒らされるなど、迷惑を被ってきた島民もいるんです。
テレビでは『急激に減った』と言うけれど、そもそも去勢・不妊手術を施したのは、数を減らすためのはず。それに小さな島内で近親交配を繰り返した結果、体が弱く寿命の短い猫も多かったから、猫の数が減るのは当たり前のことでしょう。『SCAT』には“島外で猫を保護しなくては”と言われましたが、われわれとしてはむしろ“お願いします”と言いたいですよ」
島民たちは疑心暗鬼になっている。
いちばんかわいそうなのは、人間の板挟みになって翻弄される猫たちだ。
※女性セブン2019年9月19日号