「どの子も最高の存在」 保護犬・猫の新しい家族を探し続けて
2017年7月27日(木) sippo(朝日新聞)
友森玲子さんと保護猫
ミグノン代表理事の友森玲子さんが語る
「君たちは最高だ!」
東京都動物愛護相談センターから犬や猫を引き出してくる度に、そう思います。
一度は捨てられた子たちですから確かにかわいそうなんです。
でもやっぱりどの子も最高の存在。
そんな子たちの新たな家族を見つけてあげたくて、この活動を続けています。
もともとペットサロンを経営していました。
少し落ち着いてきたとき、何か新しいことをしたいと考えました。
自分でも犬を飼いたいと思い始めていた時期だったこともあり、保護犬の「預かりさん」を始めました。
そうしたら、殺処分を減らすためのアイデアがたくさんわいてきて、2007年12月に自分で動物愛護団体を立ち上げることになった。
それが一般社団法人「ランコントレ・ミグノン」です。
基本的に地元・東京の殺処分を減らしたいと考えているので、センターからの引き出しが中心です。
一部はシェルターで面倒を見ていますが、引き出した子たちのほとんどは約60人の預かりボランティアさんのもとにいます。
保護されている犬たち
預かりボランティアのもとで
もし自分が犬や猫だったら――と考えたんです。
犬舎や猫舎のなかでたくさんの子と一緒に面倒を見られるより、家庭で1匹ずつ手をかけてもらえるほうがうれしいですよね。
だから、預かりさん中心の仕組みにしました。
16年度までに計約1400匹の子たちに新たな家族を見つけました。
この10年で、行政の対応がずいぶん変わってきたのが印象的です。
以前は、たとえば老犬を引き出そうとすると「お金がかかる。やめときな」と言われたものです。
でも最近は、私たちが引き出しにくるまで、職員の方が一生懸命に看病してくれている。
全体の収容数が減ったことが大きいのだと思います。
行政がそれぞれの子に目を配れるようになったのでしょう。
そのため最近では、以前は基本的に殺処分されていた猫の乳飲み子も助けられるようになっています。
私たちの活動で大きな転機になったのは東日本大震災です。
東京電力福島第一原発から20キロ圏内に取り残されていた犬、猫、ウサギ、鳥など計150匹(羽)を保護しました。
昨年の熊本地震でも、計約80匹の犬猫を、地元の団体から引き受けています。
保護されている猫
理想は愛護団体が必要のない社会
たくさんの子を保護しても新たな飼い主を見つけられるのは、一般の方の意識も変化したからだと思っています。
活動を始めたころは1回の譲渡会で2、3匹が限界でした。
今では1回で10匹くらいが新たな家族を見つけています。
初めて犬や猫を飼う人たちにとっても、保護犬・保護猫が選択肢に入ってきています。
ただ、最近になって気になっているのは多頭飼育崩壊。
高齢者が多いのですが若い人でも、30、40匹もの犬や猫を抱え込んで飼育しきれなくなる事例が目につきます。
生体販売にまつわる問題も依然としてなくなっていません。
社会の仕組みを変える必要があると思います。
目の前で困っている動物たちを幸せにしていく一方で、来年に予定されている動物愛護法の改正がよりよいものになるよう、働きかけをしていきたいと考えています。
理想は、動物愛護団体が必要のない社会です。
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「どの子も最高の存在」保護犬・猫の新しい家族を探し続けて
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