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子犬工場の現実

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『子犬工場』の現実~パピーミルの存在~

2017年8月6日(日) わんちゃんホンポ

人気犬種を生む犬達

動物看護師として働いているとよく繁殖犬と出会います。
人気の犬種をペットショップやほしい人の為に繁殖させる仕事がブリーダーの仕事です。
同じブリーダーさんでも、いいブリーダーさんもいます。
でも中には犬を商品としかみておらず、命としてみていないブリーダーもやはりいます。
いいブリーダーと悪いブリーダーの見分け方は簡単です。
繁殖犬の表情をみればすぐわかります。

いいブリーダーさん
いいブリーダーさんのところの犬は、飼い主さんの顔をじっと見つめ、甘えて足元に飛びついたり、離れた所にいると寂しそうに鳴き飼い主さんを探し呼びます。
一頭一頭ちゃんとした名前があり、予防や出産予定日をきっちり把握しているので、もし帝王切開になっても早すぎたり遅すぎたりせず子犬も母犬も元気です。
それに体が汚れていたりする事はありません。
普通に飼われている犬と変わりなく、みんな表情は生き生きしています。
甘える感情も、時には診察の時に嫌がって暴れたり、注射の時に怒ったり喜怒哀楽がちゃんとあります。
それに妊娠確認の為に検査して妊娠している事が解ると「よく頑張った!」と頭を撫でてもらっている時の犬の顔は誇らしげで、見ている私も嬉しくなります。
遺伝病や病気が出た犬は繁殖に使わず、避妊や去勢を行い最後まで面倒をみられるので多く飼わず面倒をみれる範囲で繁殖させています。
それが当たり前の事なんですが、でもそんなブリーダーさんはごく一部です。
多くが営利目的で繁殖させる為だけに生かされる犬達もいます。

悪いブリーダー
本音を言えば、「本当はこんなブリーダーに関わりたくない。この人達の手伝いをする自分も同じじゃないか。」いつも自問自答しています。
でも私達看護師に選ぶ権利はありません。
命として扱ってもらえない犬達の目はきらめきがありません。
人を信じることも疑うことも恐れることもなく、ただじっとしていることが多く、驚くぐらいただただ大人しく感情がありません。
一言で言うと「無気力」って言葉が合うのかもしれません。
愛情をかけて貰えず、狭いゲージの中で育ち、おしっこやウンチは網の下に落ちるようになっているので、食事と下のシーツを変える以外は人は近づきません。
そして発情の時期が近づいたら、オスと交配させられるのです。
生まれつき骨盤が狭く自力出産が難しくても、血統が良ければ帝王切開で子犬を産まされます。
帝王切開して、子犬を取り出し子犬が蘇生したら母犬が手術中でも帰っていきます。
子犬が無事だったらそれでいいとばかりに、母犬をおいて帰ります。
無事に自力で出産しても、ガリガリになるまで子犬を育てさせられ、栄養不良で倒れた子もいました。
名前もなく、年齢も解らず、わかっているのは純血種って事だけです。

最後に


どうにもならない現実があります。
唯一私に出来る事は、処置の間だけでも体を撫でてあげ「偉いね。いい子だね。」と言って短い時間でもこの子の存在を認めてあげることしか出来ません。
無気力な子が少しこっちを見てくれます。
時々尻尾を振ってくれる子もいます。
それだけしか出来ないけど、何も伝わらない事も多いけど、私はそれをやめることが出来ません。
いつになったらこんな現実が無くなるのでしょうか。
昔ブリーダーさんから、一頭数万でペットショップに売った子が数十万で売られていたそうです。
その子犬もすぐに売れてしまったと言っていました。
買う人がいるから需要があるから、繁殖犬がいなくなる事はありません。
かわいい子犬を飼いたい事は悪いことではありません。
私もかわいい子犬をみているだけで癒され、我が子として迎えたいと思う事もあります。
でも現実に子犬を作るパピーミルがいる事を忘れないでいてほしいと思います。
私はこんな記事を書いたり、私が出会った不幸な繁殖犬の頭を撫でて、その子の存在を認めてあげる事しか出来ませんが、いつかこの国からそんな子がいなくなる日が来るまでこの仕事を続けようと思います。


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