産まないだけじゃない!?不妊手術のメリット
2017年4月16日(日) にゃんこマガジン
春といえば、繁殖の季節!
なぜ?繁殖の季節なのかというと、餌の少ない寒い時期に比べ、暖かくなる春から夏にかけては食べ物も豊富。
生まれた子供への栄養を十分に与えられる可能性がある時期に産むという本能が猫たちにはある。
「そんな自然の摂理を人間が勝手に変えていいのか?」という理由から、不妊に協力的ではない人たちもいる。
「猫がお腹を空かせて可哀相だから」という理由で餌をあげても、「不妊手術には協力したくない」という人もいる。
しかし、よく考えてほしい。
猫の繁殖力はとても強い。
妊娠期間は、わずか60日ほど。
さらに一度の出産で2〜6匹生まれることもある。
そして、早熟な猫だと、生後たった5カ月で妊娠することもあるのだ。
発情期は春だけでなく秋にもある。
通常1年に3回から4回発情期を迎える。
放っておいたらそれこそ、爆発的に増えてしまうのだ。
しかも餌をあげて栄養状態が良い環境であればなおさら猫は増えてしまう。
その子猫たちの末路はどうなるのか?
子猫は、カラスなどの外敵の餌食になるケースも多い。
保健所に持ち込まれ殺処分される数は、全国を合わせると年間7万頭近くに匹敵する。
運良く生き残っても害獣とみなされ、大人になってからも捕獲対象とされるだろう。
ひどい時は、虐待に遭うことも。
餌はあげても避妊はしない。
だから生まれては殺し、生まれては殺しが繰り返されていくのだ。
これが、果たして「自然」と言えるのだろうか?
猫生を全うさせるためにも、不妊手術をし、保護猫として新たな家庭を見つけてあげることこそ、人道的配慮ではないだろうか?
例えばオス猫を不妊手術したからといって、猫がオスとしての威厳を傷つけられたという心情になることはまず考えにくい。
メス猫も同様だ。
また不妊手術から得られるメリットもたくさんある。
長生きできる可能性も大いに広がるのだ。
不妊手術をすると、オスは特に縄張り意識が弱まる。
野良猫同士のような激しい流血するような喧嘩に発展することを避けられる。
同時に、スプレー行動もなくなることも大いに考えられ、実際に去勢してから家でスプレー行動しなくなったという事例も数多くある。
もちろん、メス猫にとっても健康上のメリットがある。
子宮に膿がたまる、子宮蓄膿症の危険性を防ぎ、不妊手術をすることで、乳がんになる率も下がると言われている。
猫が高齢になると、麻酔することも負担になる。
年をとってから蓄膿症や、乳がんになったとしても、麻酔による致死率が高まるので、手術できないという場面も出てくるかもしれない。
これらのことを考えても、不妊手術することには、健康上のメリットがあり、殺処分を減らすための、猫たちへの愛情行為の一つだと私は考えている。
著者:放送作家 藤村晃子