「78円の命」道徳教科書に 豊橋・高1が動物殺処分書いた作文
2017年3月25日(土) 中日新聞
2018年度からの教科化に伴う、初の検定に合格した小学校の道徳教科書。
文部科学省が24日、検定結果を公表した。
文部科学省が24日に検定結果を公表した小学六年生の道徳の教科書の中に、愛知県豊橋市の少女が書いた作文「78円の命」が掲載されている。
殺処分で動物の命が奪われる現実について、素直な驚きや悲しみをつづった内容だ。
作文は県立豊橋東高一年の谷山千華さん(16)が小学六年の夏休みに書いた。
かわいがっていた近所の野良の子猫たちが殺処分されたことや「処分費一匹78円」と紹介するウェブサイトに衝撃を受けて思いをつづった。
市内の小中学生の作文大会で最優秀賞を受賞。
インターネットなどで反響が広がり、昨年、絵本にもなった。
教科書は、広済堂あかつき(東京)の「みんなで考え、話し合う 小学生の道徳6」。
計4ページに、ほぼ全文が紹介され「学習の道すじ」として「命を尊重することの大切さを考えよう」と呼び掛けている。
同社編集部は「同年代の筆者で身近な命への思いが素直に伝わる。かけがえのない命を考える題材として最適。豊橋だけの話ではなく、全国で殺処分を減らす取り組みが広がっていることも知ってもらえたら」と話す。
谷山さんは「思いのままに書いただけ。教科書に載るなんて夢みたい。当時の自分と同じ年齢なので読みやすいと思う。子どものうちから悲しい現実にも目を向け、考えてほしい」と話した。
将来の目標は教員になること。
もし、自分の作文が載った教科書で教えることになったら「恥ずかしいけど光栄で、うれしい」と笑った。
このほか高校英語の教科書(増進堂)では、名古屋市から金沢市まで桜を植え続けた岐阜県郡上市出身の旧国鉄バス車掌、故佐藤良二さんが取り上げられている。
佐藤さんをたたえて、名古屋城-兼六園(金沢市)の250キロを走破する「さくら道国際ネイチャーラン」(中日新聞社など共催)が始まったことも紹介されている。