猫の命をつなぐボランティア、家族たちの物語、児童書に
2017年3月28日(火) sippo(朝日新聞)
野良猫と人との共生を描いた児童向けノンフィクション書籍『のら猫の命をつなぐ物語 家族になる日』(学研プラス、1400円+税)が発売された。
本の舞台は、東京都目黒区にある猫の保護施設『スマイルキャット』。
様々な理由で保護された猫たちが、常時20匹ほど暮らしている。
猫の世話をするボランティアの人々は、保護された猫たちが誰かの家族になり、幸せに暮らしていけるための努力を365日休むことなく続けている。
同施設で里親に出会い、家族の一員として迎え入れられた猫の数は400匹以上。
殺処分前に救われた生後まもない子猫、福島県の原発事故の町からきた猫など、様々だ。
交通事故にあい、奇跡的に命が助かったものの口に障がいを負った猫“ミラクル”も、無事に里親が見つかり、幸せに暮らしているという。
その一方で、里親のもとで暮らす前に死んでしまった猫、何年も里親が見つからず保護施設に居続ける猫もいる。
こうした野良猫たちの笑顔と涙のエピソードを、猫たちを救うために奮闘する猫のボランティアや、彼らから命のバトンを受け取って里親になった人々の姿や思いとともに、じっくり紹介している。
著者の春日走太さんは、雑誌のライター・編集者を経て、児童書のノンフィクションを手がける新人作家。
ある野良猫の里親になったことから、猫の保護活動など様々な動物問題に力を入れるようになった。
春日さんは、書籍に込めた思いをこう語っている。
「のら猫の命をリレーするボランティア、その命をあずかる里親さんの想いを描いたこの物語を通じて、生きとし生けるものの命の尊さや、のら猫の実態、そしてそこで起きている問題やその現状について、子どもたちに、少しでも知ってもらえればと感じております。この本を手にして、読んでくれた子どもたちが、身近にいるにのら猫を目にしたとき、『この猫は、これからどうなるのだろう? だれかの飼い猫? それとも・・・』などと、自分で考え、想像を膨らませる一助になってくれれば幸いです。」
『のら猫の命をつなぐ物語 家族になる日』
著:春日走太
定価:本体1400円+税
仕様:A5判/160ページ
発行元:株式会社学研プラス