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命、処分させない 石川ドッグレスキュー

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命、処分させない 石川ドッグレスキュー(石川)

2016年9月25日 朝日新聞


3カ月前まで野犬だった「そよ」を抱く石川ドッグレスキューの「預かりスタッフ」宮武珠世さん=金沢市弥生

26日までは動物愛護週間――殺処分の対象となる捨て犬などを県から引き取り、世話をしながら新たな飼い主を探すボランティア団体がある。
「石川ドッグレスキュー」(金沢市)。
犬たちの命を水際で守る砦(とりで)として活動を続けている。

代表を務める池田裕美子さん(38)=金沢市神谷内町=が2002年に1人で活動を始めた。
小学生のときに保健所で殺処分される犬の存在を知り、捨て犬と出会ったら、自分で世話をして里親を探すようになったという。
23歳で結婚後、自宅を改修。
家族の協力を得ながら本格的に保護活動を始めた。
賛同者が増えて、08年に名称を「石川ドッグレスキュー」とした。
現在は正会員13人のほか、約100人がボランティアスタッフとして活動を支える。
昨年度は50匹ほどを里親に渡した。
これまでに譲渡した犬は1700匹以上にのぼるという。
動物病院で検査を受けさせてから、「預かりスタッフ」と呼ぶメンバーが各家庭で世話をして里親が見つかるのを待つ。
その間のエサや治療にかかる費用はバザーや寄付金で賄っている。
里親希望者から連絡を受けたスタッフは、希望者の住まいや犬の飼育経験などを聞く。
その後、自宅で犬と過ごしてもらう「お試し期間」を経て、慎重に譲渡するという。
最近、飼い主から直接引き取りの相談を受けることが増えてきた。
池田さんは、犬を飼う前には立ち止まって考えてほしいと呼びかける。
「犬の寿命は10年以上です。その間に飼う側の生活も変化する。責任をもって飼育できるのか、少しでも不安があれば、目の前の犬がかわいくても『飼わない』ことも選択のひとつです」。
里親希望やボランティアの問い合わせは石川ドッグレスキューのホームページ(http://www.i-dog.net )から。
(須藤佳代子)

■里親の愛情 心開いたエリー
金沢市弥生の今浦厚さん(63)は2年前に石川ドッグレスキューを介して、アメリカンコッカースパニエルのエリーの里親となった。
富山県で犬の繁殖業者が廃業、保健所の依頼を受けた石川ドッグレスキューが保護した50匹のなかの一匹だ。
池田代表によると、積まれたケージで汚物に紛れた犬や息絶えた犬と一緒に放置されていたという。
レスキューの「預かりスタッフ」の一人、宮武珠世さん(42)と顔見知りだった今浦さん。
少しでも力になれたらと里親が見つかるまで一時的に預かるつもりだった。
自宅に来たばかりのエリーは、歩くことができず、触るとおびえた。
おなかは繁殖を繰り返させられたるんでいた。
「全く表情がなくて、食べることだけに執着し、後は隅っこでぽつんとしていた」。
そんな姿を見て、こう思った。
「よく頑張って生きていたな」。
目や皮膚、甲状腺に病気を抱えたエリーを動物病院に連れて行き、世話を続けた。
徐々にエリーは穏やかな表情を取り戻した。
毛につやがよみがえり、散歩に出かけ、寝る時も今浦さんにぴったりと寄り添うようになった。
結局、里親はなかなか見つからず、自分で引き取ることに決めた。
今浦さんは犬好きでエアデールテリアも飼育しているが、これまで飼ったのは全て血統書つき。
保護犬の里親になることは考えたことがなかった。
だが少しずつ、本来の姿を取り戻してゆくエリーを見ていて、気持ちが変わっていったという。
「生き物をモノとして扱う人がいることに怒りを感じる」。
エリーと出会い、ペットを取り巻く現状に目が向くようになったことも大きな変化だった。
犬を飼うには散歩をさせる時間の確保、もちろん経済的な負担もある。
だが、今浦さんは「小さな命を助け幸せにしてあげたい。各家庭に見合った方法で愛情を込めて飼うことが一番大切です」。
今浦さんに頭をいとおしそうになでられて、エリーはうれしそうに尾を振り、目を細めた。


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