事故で2本の足を失った【柴犬/すみれちゃん】
犬らしい生活を取り戻すまでの100日間の軌跡
2016年08月20日 saitaPULS
みなさんはペットを飼っていますか?
ワンちゃんは人の心を癒す不思議な力がありますよね。
もし、大事な家族の一員である、そのワンちゃんが、あるとき突然いなくなり、2本の足を失って帰ってきたとしたら、あなたはどうするでしょうか。
これは、すみれちゃんの身に起きた実際のお話です。
2本の足を失い、人に見捨てられても、それでも人を信じて健気なまでに、一生懸命に生きようとするすみれちゃんについてご紹介いたします。
里親をなくしたすみれちゃん、新しい家族の仲間入り。
群馬県高崎市の河川敷で、首輪のない柴犬が保護されました。
小柄でやさしい目をした、可愛らしい柴犬です。
人に慣れている様子から、誰かに飼われていた犬のようでした。
そのワンちゃんは、動物愛護センターの職員さんによって「すみれ」と名付けられました。
けれど、元の飼い主さんはいつになっても現れず、すみれちゃんは、やがて、動物愛護団体の主催する譲渡会で、新しい飼い主さんに出会いました。
すみれちゃんは新しい家族のもとで、暮らすことになりました。
「その日」は突然訪れた
しかし、「その日」は突然訪れました。
桜の季節のころ、新しい飼い主さんのところから、すみれちゃんはいなくなってしまいました。
そして・・・迷い込んだ線路の中で、大けがをしているところを警察に保護されたのです。
左の前足と後ろ足が切断された状態で、電車にひかれたものとみられました。
その日は、土曜日だったこともあり、負傷動物の保護の窓口となる市役所の担当者も不在でした。
そのため、飼い主さんもわからずじまい。
そのため、すみれちゃんは、警察署の建物の外階段の下に置かれた、小さなケージでまる2日間を過ごしました。
その間、大けがをしているのにもかかわらず、2日間なんの手当ても受けずに、水だけを与えられて過ごしたのです・・・。
警察に保護されて2日後、月曜日になって、すみれちゃんの飼い主さんはようやくわかりました。
すぐに飼い主さんに引き取られ、病院へ運ばれたのですが、2日間放置されたこともあり、すみれちゃんの傷は、傷口にウジがわくほどに悪化していました。
新しい飼い主さんは、きっと動揺したことでしょう。
まだ助かるかもしれないすみれちゃんの命の灯・・・。
けれど、新しい飼い主さんは、すみれちゃんを迎えに来ることはありませんでした。
奇跡の回復
事故を知り、すぐに救出に動いたのは、すみれちゃんの譲渡にかかわった動物保護団体です。
新しい飼い主さんから所有権の譲渡を受け、その後の飼い主となりました。
ただちに別の動物病院に運ばれたすみれちゃん。
まず傷口のウジを取り除き、全身状態をみたうえで、その2日後、左の前足と後ろ足を断脚し、しっぽも断尾する3時間近い手術を受けました。
体力が持つかも心配されましたが、すみれちゃんは耐え抜きました。
事故から6日がたっていましたが、すみれちゃんは命をとりとめたのです。
大けがから2か月間のすみれちゃんは、驚異的な回復力でした。
車いすでの散歩もできるようになり、犬らしい表情も戻りました。
・・・でも、身体の傷は癒えても、すみれちゃんが心に負った傷の深さは、はかり知れません。
動物を飼うということは、命をあずかること
犬や猫を飼うということは、その子の「命」をあずかることです。
ひとたび、犬や猫の飼い主となった以上は、その子の命の最期のときが訪れるまで、何があっても守らなければなりません。
その覚悟のない人には、犬や猫の飼い主になってはいけないのです。
すみれちゃんは、その小さな身体で「命」をあずかることの責任を、わたしたちに問いかけています。
「二本あしのワンコ すみれちゃん、生きる」として、本になります。
すみれちゃんが、再び青空の下で、犬らしい生活を取り戻すまでのドキュメント、それが「二本あしのワンコ すみれちゃん、生きる」(すみれのしっぽ著、セブン&アイ出版刊)です。
9月17日に全国の書店、ネット書店で発売予定です。
どうぞお手にとってください。
いかがでしたか?
心がきゅーっと苦しくなるお話ですよね。
現在も、すみれちゃんはリハビリを続けながら、今度こそほんとうの家族として迎えてくれる、真の飼い主さんとの出会いを待っています。
二度も人間に見捨てられながらも、それでも人を信じて生きようとするすみれちゃん。
健気に2本の足で歩き続けるすみれちゃんの幸せを願うばかりです。
「二本あしのワンコ すみれちゃん、生きる」
You Tube https://www.youtube.com/watch?v=H-d-IfWpAnQ