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迷い犬・猫が熊本地震で急増

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迷い犬・猫が、熊本地震で急増
 愛護センター多数保護 犬や猫を捜し続ける飼い主も

2016年6月15日(水) sippo(朝日新聞)


熊本市動物愛護センターで飼い主を待つ犬たち

熊本の一連の地震による混乱で、多くの飼い主とペットの犬や猫が離ればなれになった。
被災地の保健所は、保護したペットが慣れない環境でストレスを感じていることを心配。
一方の飼い主たちは、ネットや手製のポスターなどで懸命に「家族」を捜している。

熊本市動物愛護センターでは前震翌日の4月15日から5月25日までに計84匹の犬を保護し、57匹は飼い主に返還できた。
普段の犬の保護は月30匹程度。
人慣れしている犬が多く、多くが震災による「迷い犬」とみられるという。
被害がひどかった益城町を管轄する県御船保健所は同期間中に15匹を保護。
地震前の月平均(7匹ほど)の約2倍で、このうち9匹を飼い主に渡した。


飼い主を待つ雑種犬のスフレ

慣れない環境はストレス
熊本市のセンターに保護された3~5歳とみられるオスの雑種犬は、4月15日に同市西区田崎本町で発見された。
革製の赤い首輪がついていた。
名前が分からなかったため、職員らが「スフレ」と名付けた。
1匹ごとに区分けされた個室にいて、世話をする女性職員を見ると、しっぽを振って近寄る。
だが保護された直後は他の犬の鳴き声などにおびえ、個室の隅で動かなくなったり、遠ぼえしたりすることもあった。
4月末から腹水がたまる症状が出て、検査や投薬をしている。
村上睦子所長(56)は「慣れない環境は犬にとって大きなストレス。元の家や飼い主の所へ一刻も早く戻るのがいい」と話す。
同センターでは、犬がいなくなった場所や種類、特徴などを記した「不明届」を受け付け、保護した犬と照合をしている。
ホームページに保護情報を公開したり、発見した場所付近で同じ犬種を飼っている人に電話をかけたりして、飼い主を捜している。
飼い主が現れなくても殺処分はしない方針という。


猫のりんを捜し続けているあすなろ社の村田憲昭さん(左)

どこかで生きていると信じて
一方の飼い主は、行方不明のペットを捜し続けている。
益城町広崎で花店「あすなろ社」を営む村田憲昭さん(46)は、店で飼っていた雑種猫のりん(2歳、オス)の帰りを待つ。
2年前に引き取った。
食欲旺盛で、蛇口から出る水を触って遊ぶのが好き。長いしっぽが特徴だ。
4月16日未明の本震で店の柱は傾き、窓ガラスや玄関の戸は壊れた。
急な避難でりんを連れ出せなかった。
1週間後に店に戻ったが、りんの姿はなかった。
すぐにフェイスブックやツイッターで情報の提供を呼びかけたが、有力な手がかりはないままだ。
余震を警戒し、今も別の場所に避難している村田さん。
店の周りに、かご状の捕獲用具四つを置き、毎朝確認している。
「どこかで生きていると信じている」。
梅雨入りで、今後、暑さも増し、心配は募るばかりだ。
同町広崎の会社員、宮本安一さん(59)が飼っていたシバイヌのハナ(15~16歳、メス)も行方不明。
自宅の庭で放して飼っていたが、4月末ごろ、家の片付けや修理で人が出入りするうちに扉が開きっぱなしになり、外に出たらしい。
宮本さんは自宅周辺の散歩コースをほぼ毎日回り、保健所にも問い合わせたが行方は分からない。
避難所などに自作のポスター25枚を貼り、情報提供を待つ。
夢の中に庭でほえるハナが現れて目を覚ます時がある。
庭をみるが、ハナの姿はない。
「1カ月経ってもあきらめられない。早く帰ってきて欲しい」


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