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犬と話せる男

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「犬と話せる男」全国2人の警察犬担当指導官に(神奈川)

2016年5月26日 朝日新聞


広域技能指導官に指定された赤坂さん=横浜市栄区

「犬と話せる男」。
県警内でこう評される警察犬のスペシャリストが鑑識課にいる。
警察犬係の赤坂一彦警部(50)だ。
今年4月、警察犬担当では全国で2人しかいない警察庁の広域技能指導官に指定された。
「人犬一体」の技術を伝えようと、後輩の指導に励んでいる。

20日午前、横浜市栄区の訓練所。
跳びはねるように暴れ回る警察犬に係員たちの厳しい声が飛ぶ。
なかなか言うことを聞かない犬たちを見て赤坂さんはほほえんだ。
「警察犬の訓練は100歩進んで99歩戻るの繰り返し。そう簡単にはいかないんです」
警察犬係に配属されたのは35歳のとき。
先輩に誘われたのがきっかけだった。
最初に引き継いだ担当犬にはほえられ続け、先輩の匂いのついた作業着を1週間着て生活した。
「犬にも上下関係がある。まずは信頼されないとダメということを学んだ」という。
山岳遭難者の救助、強盗事件の容疑者逮捕・・・。
数々の成果をあげる一方で、忘れられない苦い経験がある。
2010年、横浜で開かれたAPEC首脳会議を前に行われた爆発物対処訓練。
模擬爆弾が入ったバッグに反応した捜索犬が鼻先でバッグを突っつき、大きく動かした。
「本物なら爆発を招く大惨事。危機感を覚えた」
それから各地に足を運び、訓練方法を学んだ。
米海軍の爆発物捜索犬や税関の麻薬探知犬の良いところを採り入れ、訓練方法をまとめたマニュアルを全国に先駆けて作成。
そうした功績が評価され、専門的な知識や技術を持つ捜査のプロとして全国の捜査員の指導にあたる広域技能指導官に選ばれた。
「訓練は孤独な仕事。苦労している全国の警察犬担当が一人でも多くの人命を救えるような指導をしたい」と意気込む。
最近の趣味は「こま犬巡り」。
体力をつけるため、ランニングで神社を周り、こま犬の写真を撮ってこうお願いするという。
「警察犬に、良い仕事を」
(照屋健)


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