「置き去り猫」救いたい
飼い主の高齢化で行き場失うケース増加 有志が支援呼び掛け
2016年5月17日(火) 西日本新聞
飼い主が認知症を患い、行き場を失って保護された猫たち。元気を回復し、新しい飼い主を待っている。
福岡県春日市で2月、猫10匹を飼っていた70代の独り暮らしの女性が認知症を患い、介護施設に緊急入所したため、猫たちが行き場を失っている。
飼い主のいない猫を地域で保護、管理する「地域猫」活動に取り組む有志が一時的に保護し、飼育費用の募金や新たな飼い主探しに取り組んでいるが、飼い主の高齢化に伴うさまざまな事情でペットが置き去りとなるケースが近年増えているという。
女性は十数年前、野良猫を拾い、自宅アパートで飼い始めた。
猫は繁殖を繰り返し、数年で30匹に増えたという。
7年前、「くさい」と苦情を寄せた住民に女性自ら「増えすぎて手に負えない」と漏らしたため、住民が同市などで地域猫活動に取り組む市民団体「ねこともの会」に相談。
駆けつけた会員たちが室内を清掃し、すべての猫に不妊去勢手術を受けさせた。
その後も定期的に餌を提供するなど支援していた。
今年2月、女性は認知症が悪化し、施設に入所。
アパートも同月末で退去を求められたため、同会の有志や協力者約10人が猫を保護した。
飼育場所を別に借り、交代で餌やりなどの世話を続けている。
猫はいずれも6歳以上。
保護時は管理状態が悪く、やせ細っており、うち2匹は間もなく死んだ。
残る8匹のうち少なくとも5匹は「猫エイズ」と呼ばれる猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染しているという。
飼育費をネット上の資金調達サイトで募る
この女性の事例のほかにも、同会には猫を飼う高齢者やその関係者から「飼えなくなった」との相談が寄せられており、「『かわいそう』という同情や寂しさから野良猫を拾うなどして猫を飼い始める高齢者が多いが、猫の寿命は15~20年。
飼い主が施設に入ったり、入院したり、亡くなったりして、置き去りになる猫が増えている」という。
女性の猫を保護した有志は「おき去り猫支援チーム福岡」を結成。
ただ、飼育場所の賃貸料、医療費など多額の費用をボランティアだけでは賄いきれず、8匹の飼い主を募集する一方、飼い主が見つかるまでの飼育費をインターネット上の資金調達サイト「READYFOR(レディーフォー)」で募っている。
今月24日までに半年分60万円の募金達成を目指す。
同チームによると、8匹は健康状態も回復。
FIVは人や犬には感染せず、発症しない限りあと10年は生きるという。
同チームの渡辺恵理子代表(38)は「8匹は食欲旺盛で元気。皆、人懐っこくてかわいい。ぜひ支援してほしい」と話している。
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