ペットの健康被害も深刻 地震影響、獣医師ら「預かり所利用を」
2016年5月5日(木) 西日本新聞
益城町の避難所にVMATなどが設けたペットの健康相談コーナーでは、獣医師たちが猫の手当ても行っている
熊本地震で被災した家庭の犬や猫の健康問題が深刻化している。
避難所を巡回してペットの健康相談に応じている災害派遣獣医療チーム(VMAT)によると、避難所生活や車中泊など環境の変化でストレスや疲れがたまり、食欲不振や下痢、嘔吐(おうと)といった症状を訴える声が飼い主から相次いでいるという。
獣医師たちは「動物病院の預かりサービスを利用し、一時的でもペットに休息を与えてほしい」と呼び掛けている。
「水やドッグフードを口にしようとしない」「震災後、急に体をかゆがるようになった」。
益城町や西原村の避難所に駆け付け、対応した小川篤志獣医師=東京都=によると、寄せられる相談は、こうした消化器や皮膚に関する症状が多いという。
小川獣医師は「車中泊が続くなど、ストレスが最大の原因」と指摘する。
東日本大震災でも、ストレス性のぼうこう炎などペットの健康被害が多発。
対策として「ペットフードにお湯を入れてふやかしたり、水で薄めたスポーツドリンクを飲ませたりして、脱水症状を起こさないよう工夫することが大切」とアドバイスする。
熱中症への対策を
地震発生から3週間近くがたち相談件数は落ち着いてきたが、最高気温が20度を超える日が続いていることから、県獣医師会は熱中症への対策も促している。
同会は、ペットの症状として、呼吸が浅い▽意識がもうろうとしている▽よだれが大量に出ている-などの異変が表れた場合、水を直接体に掛けたり、ぬれたタオルを首や脇に当てたりして体温を下げるといった処置を勧めている。
ペットも家族の一員として一緒に避難している世帯は多く、VMATの船津敏弘獣医師=福岡県=は「高齢で体力が低下していたり、心筋症や関節痛などの慢性疾患があったりするペットは特に注意が必要。
積極的に預かりサービスを利用するといった目配せをしてほしい」と話している。
県獣医師会とVMATは8日まで、益城町のグランメッセ熊本と熊本市役所に無料相談コーナーを設けている。一時預かりがある動物病院などの問い合わせは同会災害救護対策本部=096(369)7807=へ。
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