「ペット同行避難断られた」相談600件 場所、人手なお不足 被災地の熊本
2016年4月27日(水) 西日本新聞
避難所の屋外で犬たちと過ごす津田秀雄さん=熊本県益城町の総合体育館
熊本地震の被災地では、ペット連れのため避難所に居づらく、車中泊など不便な生活を強いられている人たちがいる。
ペットと「同行避難」できる動物病院や専用テントが現れ、一時預かりなど支援の動きが出てきているが、人手や場所が不十分など課題も多い。
熊本市東区の熊本県立第二高の駐車場。
社会保険労務士事務所勤務の荻生清高さん(40)は、妻(38)と義母(76)、犬2匹と車中泊を続けている。犬がいるため、最初から避難所は諦めた。
義母は足が悪く今の生活は負担が大きい。
「家族も犬もくつろげる場所に早く移りたい」と願う。
益城町の津田秀雄さん(67)は、同町の総合体育館内の入り口近くで高齢の犬2匹と共に過ごす。
「人が多いとストレスも心配」。
2匹ともおとなしいが、子どもをかんだりしないか気に病んでいる。
問い合わせ先一覧
同行避難を受け入れる竜之介動物病院(熊本市中央区)は、病院が入るビル内の3、4階にある専門学校の教室を開放している。
現在70人程度が避難。
「人用の炊き出しは量が少ないが、受け入れ場所は余裕があるので利用してほしい」と呼び掛ける。
支援の人手が足りず、受け入れはぎりぎりの状態
「ペット同行で避難所に入るのを断られた」。
動物愛護団体ドッグレスキュー熊本(菊陽町)には、こんな相談が600件近く寄せられている。
犬だけを預かっており、現在43匹。
支援の人手が足りず、受け入れはぎりぎりの状態だ。
生松義浩代表(55)は「ペットを預かることで飼い主が家を片付けられる。早く一緒に住めるようになることが、人のためにもペットのためにもなる」と話す。
益城町の総合体育館では、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(広島県)がペット連れや女性向けにテント36張りを設営している。
ペット連れの需要が高く、うち33張りを利用。
テントを増やしたいが適地探しは難しい状況だ。
リーダーの大西純子さん(44)は「ペットと同居できる仮設住宅などの準備も必要になってくる」と指摘する。