杉本彩さん主宰のEvaさんより
猫ブームに警鐘
殺処分の大半は猫、あなたは「それでも命を買いますか。」
空前の猫ブームと言われる今
2016/03/25
ここ最近、インターネットの動画投稿サイトには、かわいい猫動画が多数アップされ、書店に行けば猫の専門書、写真集が棚を埋めています。
また「ネコカフェ」は猫人気とともに増加傾向。
2016年秋冬のパリ・コレクションでは、有名ブランドがこぞって猫モチーフのアイテムを発表しました。
「空前の猫ブーム」、「アベノミクスならぬネコノミクス!で経済効果を。」などといった言葉も良く見聞きし、猫の飼養についてはというと、犬と比べると散歩も必要ないため世話がラクとか、また犬に比べると飼育費も安価、そして猫と一緒に暮らすとスキンシップによる健康効果があるといった内容の記事や報道をよく目にします。
ブームに拍車がかかり、猫専門店に模様替えしたペットショップは売り上げ20%増になったそう。
河北新報 空前の猫ブーム 商戦熱く
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201602/20160224_12003.html
飼い主のいない猫を増やさないために
動物愛護センターの子猫
現在の行政の犬猫の引取り及び処分数を見てみると、引取り数151,095匹のうち、猫は97,922匹。
処分数は101,338匹のうち8割近くの79,745匹が猫です。
そして猫の処分数の半数以上が幼齢個体というのが現実です。
(環境省平成26年度 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況)
全国の動物愛護団体やボランティアの方々は、猫を保護し里親探しに日々奔走しています。
産まれた子猫をすべて救うこともすべて譲渡することも出来ません。
そのような中、殺処分を減少させるために、不妊去勢手術が不可欠です。
今「地域猫」という地域ぐるみで一代限りの命と共生していく取り組みが全国で行われています。
猫ブームの先には
動物愛護センターの成猫
このような現状に逆行する形で、今後猫ブームに乗った購買意欲の高まっている消費者に向け、人気猫種を繁殖させ、店舗にはこれまで以上に猫が並ぶことになるでしょう。
そしてブームに乗った購入者は、猫には犬のような狂犬病予防法による登録義務がないことから、猫の飼育に困った場合、簡単に飼育放棄することにもつながると言えます。
また業者の特定猫種の乱繁殖による遺伝性疾患の問題や、流通経路では競り残り売れ残りも生じ、これまでの犬同様、闇から闇へと葬り去られる命があとを絶たないでしょう。
猫の飼育は決して楽ではありません。
安易な購入と安易な飼育放棄につながらないために、猫の飼育について学んでください。
【猫を迎える人へ、猫を飼う前の心得】
トイレ
・猫はトイレが汚れていると嫌がるため、トイレの掃除は1日数回必要で清潔を保つ必要があります。
またその場所が気に入らなかったらトイレでしないこともあります。
猫のオシッコは犬と違い強烈な臭いがします。
どこかで粗相されたら、その臭いはまず完全には消臭できないと考えたほうがいいでしょう。
毎日の世話
・飲み水をこまめに取り替えて、いつもきれいな水に。
また水をあまり取らない猫は腎臓に負担がかかり、それを予防するためには、フードと一緒に水分を取らせる工夫が必要です。
腎臓の機能が落ち、腎不全を起こすと猫は大変苦痛です。
また、悪化すると定期的に点滴に通わなくてはなりません。
・猫は毛が抜けます。
そのうえ長毛の猫の毛はとてもフワフワと柔らかいため、まめにブラッシングをしないと毛玉がすぐにできてしまいます。
毛玉を放置しておくと皮膚病や炎症を起こすことがあるため日々のブラッシングが不可欠です。
嘔吐
・猫はとてもよく吐きます。
たんなる吐き戻しか、病気の危険性がある嘔吐かしっかり観察する必要があります。
爪とぎ、爪きりについて
・柱や壁で爪とぎをするので対策が必要です。
爪とぎは、ソファでもするので、高価なソファを傷つけてしまうことも。
たとえ爪とぎをしなくても、どこへでも上り下りできる猫の後ろ脚の爪が、ソファや家具を傷つけることもあります。
・爪切りが必要です。
猫の爪を切らずにいると、カーテンやカーペットに引っ掛け爪を折ってしまうことがあります。
人への引っかきを防ぐためにも、定期的な爪切りは不可欠です。
爪を定期的に切れない人は、まず猫との暮らしは厳しいでしょう。
爪が切れないからと言って爪をとる手術を選択することは言語道断です。
そういう方は猫の飼育はしないでください。
対策
・脱走癖のある猫は、窓に特別な器具を設置するなど脱走対策が必須です。
金銭問題
・迎える前の備品の準備(フード、水とフードの食器、トイレ、猫用ベッド、爪とぎ、キャットタワー(猫は上下運動が必要)、グルーミング用品、キャリーバッグ)
・高額な医療費
避妊去勢手術
・猫は交尾をすればほぼ確実に妊娠する繁殖力の高い動物です。
「手術はそのうち」と無知のまま雄と雌を迎えてしまうとあっという間に繁殖します。
1匹の雌猫から1年後には20頭以上、3年後には2,000頭以上にも殖えます。
環境省「もっと飼いたい?」より
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2305a/full.pdf
動物愛護センターの成猫
猫は犬と違い、基本的にはしつけはできません。
「ほめて育てる」は、まず効かないでしょう。
大事なバックや靴にオシッコをされたり、嘔吐でカーペットを汚したり、飛び乗られたりぶら下がってきて、お気に入りのセーターやコートに穴が開いたりほつれたりすることも多々あります。
そんな時、自由な猫を寛大に受け止める心がありますか?
そして現在お住まいの集合住宅は、建物の規約でペットの飼育が禁止されていませんか?
猫と暮らすためにペット可の住居を探すことはできますか?
また今後転勤や結婚など、生活環境の変化による引越しはありますか?
その際、引越し先でペット可の住宅を探すことはできますか?
そして子どもに猫アレルギーが出た、また将来お子さんが出来て猫アレルギーが出た場合には、安易に猫を手放さず、その症状を緩和するための最良の方法を模索することができますか?
もし猫と暮らすことに少しでも不安を感じたまま迎えたら、今後あなたの生活の中で猫の存在が大きなストレスやトラブルの元となるでしょう。
ペットは「可愛い」だけでは飼えません。
猫ブームだから、周りが飼い始めたから、猫がいたら癒されそうだからと、一時の思いだけでなく、最期まで責任を持って飼えるのか今一度考え正しい選択をしてください。
里親が決まった猫
とっても詳しく書かれています。
ペットも私たち人間と同じ命、命を預かる気持ちで、買うのではなく飼ってください。
皆さん、大いに参考になるのではないでしょうか。
杉本彩さんに感謝!ですね。
(Fujita)