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「ほっとけない」福島で残されたペット保護活動

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「ほっとけない」 福島で残されたペット保護活動

2016年2月24日 中日新聞


保護した猫と遊ぶ本多さん(左)と代田さん。
猫の名前は本多さんが付け、代田さんはすべての猫を識別できる=福島県三春町で

東京電力福島第一原発周辺に取り残されたペットを保護する団体がある。
福島県三春町の「動物救護隊にゃんだーガード」。
名古屋市天白区出身の本多明代表理事(52)が原発事故の二週間後に活動を始め、2011年末に同町の旅館を買い取り、保護シェルターを設けた。
「逃げられなかった動物を放っておけない」
JR郡山駅からバスで30分。
山あいに立つ元旅館の客室だった部屋で猫が遊び、一匹ずつ好みに合わせたエサが出される。
かつては多くのボランティアが集まり、数十人でごった返す日もあった。
最近は、新たに訪れる人は少なく、住み込みのシェルター長とボランティア、職員計6人で運営する。
本多さんは月の半分をここで過ごし、残りは、経営する自動車部品製造会社の仕事のため天白区へ戻る。

本多さんは20歳の時、車にひかれた猫を助けてから捨て猫の保護を始めた。
名古屋の家では妻が15匹の猫と暮らす。
シェルター運営は、グッズ販売の収益や寄付で賄いきれず、月150万円を自腹で補う。
活動の根底に、人間への怒りがある。
少なくない住民が「家族」だったペットを残して去った。
飼わずに餌づけしていた人も多く、避妊・去勢していないため、原発周辺では事故後に生まれた猫がさまよう。
2年前に移り住んだシェルター長の代田岳美(しろたたけみ)さん(39)は2週間に一度、エサと水を車に積み、許可を得た住民とともに帰宅困難区域に入り、捕獲器を仕掛ける。
保護できない日も多く、エサをまいて「生き延びて」と祈る。
ペットを置いていったことを後悔する住民と話すと「仕方なかったのかな」と思う。
一度はペットの生存を諦めたが、思い直して再び捜し始めた人からの問い合わせもある。

東日本大震災では避難所にペットと一緒に入れず、車で過ごして体調を崩す人がいた。
環境省は13年にペット同行避難を基本とする指針を示したが、実際に動物の避難所を設ける訓練まで行う自治体は少ない。
「飼い主の意識が高くない」と感じる代田さん。
「置き去りにしないように、日ごろから家族などで話し合ってほしい」
これまで700匹の猫や犬を保護し、新たな飼い主を探してきた。
シェルターでは今も、猫150匹と犬2匹が引き取り手を待つ。
(神谷円香)


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