年末は殺処分が増える!? 犬31頭を一斉に保護
2016年1月15日(金) sippo(朝日新聞)
ピースワンコの施設に保護されてきたペッパー
正月休みの前に
昨年暮れ、ピースワンコ・ジャパンは、広島、神奈川両県の計3カ所の動物愛護センターから31頭の犬たちを一斉に保護した。
なかにはパルボウイルスに感染するなど心配な状況の犬もいたが、獣医師や飼育スタッフが正月返上で治療と世話にあたり、どうにか健康を取り戻しつつある。
年末の「集団保護」は、前年に続き2回目である。
県や市が運営している動物愛護センターは、年末年始は長期の休みに入り、収容した犬や猫の世話をする人がいなくなる。
そのため、休み前に全頭を殺処分してしまい、施設内に犬や猫がいない状態で年を越すのが通例だった。
私に言わせれば、それは正月をゆっくり過ごしたい人間の都合でしかなく、許しがたい。
せめてこの時期だけでも殺処分機を止め、犬たちの命を新しい年につないでやりたいという思いで、集団保護に取り組んでいる。
小さな首輪でけが
31頭のなかに、首に痛々しい傷を負った1歳ぐらいの雄犬がいた。
チェーン状の金属の首輪が深く食い込み、皮膚の一部が裂けたような状態になっていた。
保護してすぐに動物病院へ連れて行き、首輪を切断して手術を受けさせたが、15針も縫う大けがだった。
おそらく子犬のときに小さな首輪を付けた状態で捨てられ、成長するにしたがって首輪のサイズが合わなくなってしまったのだろう。
強くなる痛みをどうすることもできず、野良犬としてさまよっていたことを想像すると、いたたまれない。
幸いなことに治療後の経過は順調で、傷もずいぶん癒えてきた。
私たちは彼に「ペッパー」と名前をつけた。
少し臆病ではあるが、とても優しい性格で、人懐っこそうに見える。
もし想像通り子犬のころに捨てられたのだとしたらひどい話だが、これから手厚く世話をして、いい飼い主さんに一日も早く巡り合えるようにしてやりたい。
ペッパーを含め、今回の31頭は新年を迎えることができたが、今のところそれは犬たちにとって偶然の幸運でしかない。
他の時期には相変わらず殺処分機が稼働し、たくさんの命が奪われているのだ。
今年の年末には、集団保護が特別なイベントでなくなっているようにしたい。
そのためにも、まずは広島県の犬を全頭保護できる体制を、目標の6月までに必ず整える決意だ。
(ピースウインズ・ジャパン代表理事・大西健丞)
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