猫が犬を逆転か?ペット数見通し 散歩不要など背景に
2015年10月26日 朝日新聞
昨年から猫と暮らし始めた自営業の女性。「この子がいない生活は考えられない」=大阪市、加藤諒撮影
これまでペットの人気を二分してきた犬と猫。
長く犬のリードが続いていたが、猫が逆転する日が近々やってきそうだ。
小型犬ブームが落ち着き、散歩やしつけの手間から犬を飼う人が減る一方で、猫を家庭に迎える人が増えている。
ペットフードメーカーの業界団体「一般社団法人ペットフード協会」(東京都)は1994年から全国調査を実施し、犬と猫の推計飼育数を発表している。
昨年の調査では、犬は1035万匹、猫は996万匹だった。
調査対象を5万人に増やした過去5年で見ると、犬は12・8%減少する一方、猫は3・6%増えている。
飼育世帯数では犬が上回るが、このペースだと今年の調査で猫の数が初めて犬を抜く計算だ。
今年の調査は今月9日で終わり、来年初めに発表の予定。協会の越村義雄名誉会長(67)は「犬を新たに飼う動きは低調だが、猫は2匹目を迎える人も増えている。
散歩の必要もない猫は単身者でも飼いやすく、今回は犬猫が逆転するのではないか」と予想する。
犬に逆風となっているのは、飼い主の高齢化だ。
同協会の昨年の調査によると、年代別では犬猫とも50代の飼育者が最も多く、50代以上が全体の6割を占める。
そこに、90年代後半の小型犬ブーム時に飼い始めた犬が寿命を迎えつつある状況が重なる。
市場調査会社「富士経済」(東京都)の橋本幸二主任は「飼い主の加齢に伴う負担の大きさから、犬の飼育数の減少に歯止めがかからない」という。
メディアでも猫人気が顕著だ。
CMやドラマに出演する犬猫約180匹を擁する湘南動物プロダクション(千葉県)は、かつては犬への仕事依頼が8割を占めたが、最近は猫が6割にのぼる。
複数のペットのブログランキングでは猫が軒並み上位を占める。
飼い猫にまつわる著書がある精神科医の斎藤環さん(54)は「人への忠誠心が高く行動のわかりやすい犬に比べ、猫は謎めいて予測不能な面白さがある。動画などインターネットでの発信になじみやすく、ネット住民の盛り上がりが現実世界に波及している。一過性のブームでは終わらないだろう」とみる。
(机美鈴)