あ、濁流に犬が・・・発見男性が飛び込み救出 飼い主と再会
2015年9月15日 朝日新聞
水上で孤立する犬。辺りには鳴き声が響き続けていた
=10日午後1時44分、茨城県常総市本石下、平野淳一さん提供
救出されたももをなでる飼い主の柴さん一家=茨城県常総市本石下、山本恭介撮影
泥水に流されそうになる犬が見えた。
男性は家を飛び出し、濁った水の中をかくように進んで、救った。
避難所に連れて行けず、半ば諦めかけていた飼い主一家は、丸1日経っての再会に「感謝してもしきれない」と喜んだ。
茨城県常総市本石下の平野淳一さん(43)は、鬼怒川の堤防が決壊した10日午後1時過ぎ、犬の鳴き声に気づいて外を見た。
大人の胸ほどまである泥水の中、犬が水から顔だけを出してフェンスにしがみついていた。
自宅からの距離は約20メートル。
自らも犬を飼っている平野さんは一瞬迷ったが、見捨てるわけにはいかないと、水の中に分け入った。
押し流されながらも手を伸ばし、犬を抱え込んだ。
停電で真っ暗な自宅2階で、震える犬と一晩過ごした。
翌11日、平野さんに飼い犬が救われたと聞いた柴康彦さん(50)一家が引き取りに来た。
メスの雑種ももは、しっぽを振って家族に飛びついてきた。
柴さんは10日早朝に避難指示を聞いて避難を決意。
その時は浸水もなく、ももを避難所には連れて行けないと考え、首輪のリードを外していた。
避難所のテレビで自宅付近が水没する様子を見た3人の息子は「ももが心配」と繰り返していた。
柴さんは「よく生きとった。平野さんには感謝してもしきれない」。
三男の亮平君(10)は「生きてて本当によかった」とももをなでた。
平野さんは「放っておけず、必死で泳いだ。家族が喜ぶ姿を見られて、うれしい」と話した。
(山本恭介)
【動画】濁流に取り残された犬=平野淳一さん提供
http://www.asahi.com/articles/ASH9H33KZH9HUTIL006.html?iref=com_rnavi_arank_nr01