被災乗り越えセラピー犬に 宇都宮・木塚さん宅の「哲」
2013年2月10日 下野新聞
東日本大震災後、東京電力福島第1原発近くで保護され、宇都宮市東町、無職木塚孟さん(65)に引き取られた雑種犬が今月、アニマルセラピー犬としてデビューした。
被災犬がセラピー犬になるのは全国的にも珍しい。
木塚さんは「この子の瞳の奥に苦しく悲しい思いを感じた。話せないが、人の心が見える。きっと多くの人を癒してくれる。いずれ被災地の方々との交流も実現させたい」と活躍を願っている。
この犬は推定4歳の雄で、東日本大震災から約1カ月半後の2011年4月30日、福島県双葉郡の海岸で動物愛護団体のNPO法人犬猫みなしご救援隊(広島市)に保護された。
その直後、木塚さんが塩谷町にあった救援隊の臨時拠点を訪問。
目を伏せてうずくまる犬が気になり、里親ボランティアになることを決めた。
妻の次子さん(63)が哲と名付けた。
木塚さん宅で当初、哲は寂しそうに鼻を鳴らし眠れずにいたため、次子さんが約1カ月間、夜は茶の間で添い寝。
福島の民謡「新相馬節」を口ずさむと、安心するようだった。
落ち着いた哲は、散歩で出会う一人暮らしのお年寄りや子どもにすっと近付き、寄り添うような行動を見せるようになった。
「空気を読んで弱い立場の人の所へ行くんです」と木塚さん。
才能を感じ、NPO法人日本アニマルセラピー協会栃木中央本部(鹿沼市)で認定試験を受けさせると、一発で合格。
7日には群馬県桐生市の障害者支援施設でデビューし、指をなめるなどして利用者の心を和ませた。
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被災乗り越えセラピー犬に
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