和歌山)たま駅長、病院でも「駅長魂」 28日に社葬
2015年6月26日03時00分 朝日新聞
病院に見舞いに来た和歌山電鉄の小嶋光信社長に「ニャー」とこたえるたま駅長。
逝く前日までは元気な姿を見せていたという =21日午前11時ごろ、岩出市、同電鉄提供
「これだけ人を動かした猫はいない」「世界的に有名になっていくのがうれしかった」――。
和歌山電鉄のたま駅長急死の公表から一夜明けた25日。
執務を続けた貴志駅(紀の川市)にはファンらが駆けつけ、別れを惜しんだ。
同社広報によると、他界する前日の21日午前に小嶋光信社長が岩出市の病院に見舞いに行った。
小嶋社長がたまに声をかけると、だっこしてもらいたい様子で、すくっと立ち上がったという。
また写真を撮ると、仕事と思ったのか、しゃきっとした姿になったのが印象的だったという。
献花のため、大阪府岸和田市から貴志駅に駆けつけた会社員の越野薫さん(47)は、4月に16歳の誕生日を迎えたことを報道で知り、「いま行かないと」と思ってゴールデンウィークに出かけ、初めてたまに会ったという。
しかし、「それが最初で最後になってしまった。これだけ人を動かした猫は、たまちゃんだけなのではないでしょうか」と残念がった。
「たま駅長が生まれたころからのファン」というのは和歌山市の会社員岩尾光雄さん(39)。
「駅のホームのベンチで、帽子をかぶって見送ってくれたたまの姿が記憶に残っている。世界的に有名になっていくたまを見るのがうれしかった」と寂しそうに振り返っていた。
和歌山市の無職野浦早苗さん(65)は、孫をつれてたま駅長に会いに来たことがある。
「(たまをモチーフにした)たま電車を見つけるといつも孫が喜ぶんです。亡くなったときいて、せめて花だけでも供えたいと思いました。もっと長生きすると思っていたので、残念」と悲しんだ。
和歌山電鉄は28日午後0時半から、貴志駅コンコースで社葬を営む。
仁坂吉伸知事は「観光のスーパースターとして国内外から絶大な人気を誇り、本県の観光振興に大いに貢献されました。深い悲しみとともに感謝の気持ちでいっぱいです」とコメントを寄せた。
(真田嶺、広津興一)