ペット虐待 動画相次ぐ 専門家「防止には立件を」
2015年3月9日 日刊県民福井
ペットとみられる犬が蹴られたり踏まれたりする映像が1月下旬以降、動画投稿サイトで次々に公開された。明らかに動物を虐待している動画にネット上の批判が集中、すべて削除される事態になった。
専門家は「軽い気持ちで虐待映像を投稿するのだろうが、警察はうやむやにせず、事件として立件することが虐待防止には重要だ」と指摘している。
動物保護団体「RJAV被災動物ネットワーク」によると、最初の動画投稿は1月28日。
「虐待される犬」というタイトルが付き、トイプードルが室内で繰り返し蹴られたり小突かれたりする様子が写っていた。
その後も同様の動画が5本以上次々に投稿されたが批判が相次ぎ、2月中旬に全て削除された。
こうした事態は初めてではない。
昨年7月、おりに閉じ込めた猫を川に沈めて死なせたとして、長野県警に動物愛護法違反容疑などで書類送検された男は、猫を沈める様子をインターネットで生中継した。
映像を見た県内外の利用者から、県警に400件以上の情報提供があったという。
「ネットが普及して気軽に動画投稿できるようになったことで、密室で行われてきた虐待が多くの人の目に触れるようになってしまった」。
捨て猫を中心に年間200~300匹を譲渡するNPO法人「ねこけん」(東京)の溝上奈緒子代表(39)は嘆く。
ねこけんは、引き渡した後に虐待が明らかになった場合に飼い主から取り戻せるよう、すべての猫にマイクロチップを装着。
実際に、虐待の疑いがあるとして返還を求めたケースが過去1件あった。
ペット関連法に詳しい細川敦史弁護士は「軽い気持ちで虐待や動画投稿をするのだろうが、発覚した際は、警察が事件として立件し、きちんと処罰することが大事。うやむやにしないことが虐待の防止にもつながる」と話している。
動物愛護法
「人と動物の共生」をうたい、ペットの殺傷や虐待への罰則を定めた法律。
2013年9月施行の改正法は、所有者が動物を終生飼育するよう努めなければならないと明記。
殺傷や虐待への罰則を強化した。違反すれば殺傷は2年以下の懲役または200万円以下の罰金、水や餌を与えず衰弱させるなどの虐待では100万円以下の罰金が科される。