吉村大阪府知事、虐待疑い動物の行政による緊急一時保護可能な法整備を要請 西村環境相に面会
2023年6月21日(水)
大阪府の吉村洋文知事は21日、東京・霞が関の環境省を訪れて西村明宏環境相に面会し、ブリーダーが逮捕されるような警察が介入するケースに限り、虐待が疑われる動物の緊急一時保護を行政で対応できるような法律や制度の整備の実現をするよう、要請した。
西村明宏環境相(右)に要望書を手渡す大阪府の吉村洋文知事(撮影・中山知子)
今年2月、大阪府寝屋川市で、病気などの犬10匹に適切な保護を行わなかったとしてブリーダーが逮捕される事案が起きた。
吉村知事は「虐待が疑われる犬が多数いる中で、逮捕は突然だった。逮捕されたオーナーが身柄を拘束された場合の、残された犬たちへの保護に関して法の不備がある」と指摘。
「本来は行政が一時保護できる法律が必要だが、今は(憲法上の)所有権があり、本人の同意がない限り、さわれない。逮捕されるような虐待が疑われるケースに限っては、緊急一時保護を認める法律が必要だと思う」と訴えた。
寝屋川市の事案では、府の職員が逮捕された側に所有権の放棄を交渉し、動物愛護団体などと協力しながら計200頭について対応ができたとしたが、「所有権の放棄がなければ、放置せざるを得ない。大阪だけに限らず全国で(同様の事案が)出ており、警察が介入した悪質な事案に限っては、行政が緊急一時保護できる規定が必要だ」と、繰り返し訴えた。
面会後、取材に応じた吉村知事は、西村環境相は「問題意識としては共有している」としつつ「憲法上の所有権の制約があり、その中でどうするかを考えていかなければならない」との認識を示したという。
吉村知事は「取り残された犬たちはどうしたらいいのか。そういう時くらいは、行政が緊急一時保護できる規定をつくることは、動物愛護法の精神にも基づく。大阪以外でも起きる問題で、これからも国会にも働きかけをしていきたい」と話し、法律や制度の整備に向けた国側への働きかけを、継続する考えを示した。
【中山知子】