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飼い主の思いを残すペット肖像画家

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絵にしたいほど大切-飼い主の思いを残すペット肖像画家

2023年5月18日(木)

[顧客との対話を大切にするペット肖像画家 三上 恵利子(みかみ・えりこ)さん (50) 軽井沢町]
瞳の輝きが印象的な1匹のチワワが虹の上にいる油絵。
愛犬の死をみとれず、虹の上で幸せに暮らしていてほしい―と願う飼い主から依頼されて描いた。
「お客さまが注文したときの気持ちをくみ取り、できるだけ要望に近づける」。
ペット肖像画家として、顧客との対話を大切にしながら日々、筆を動かしている。


ペット肖像画の前で語る三上さん

福井県出身。
子どものころからチラシの裏に動物の絵を描いていた。
特に多く描いたのは馬の絵。
競馬番組で見たサラブレッドや漫画に出てくる白馬に引かれた。
建築の専門学校への進学を機に上京した後、大阪や東京で働いた。
勤めていた不動産会社がつぶれ、18年ほど前に東京から北海道千歳市に引っ越した。
北海道にはサラブレッド牧場の見学に訪れたことがあり、「住むならここがいいかも」と考えた。
絵を本格的に始めたのは画材屋で見つけた油絵のセットがきっかけ。
筆が6本とナイフが2本、12色がセットで入った箱を見て「かっこいい」と購入。
馬や友人の犬の油絵を交流サイト(SNS)や自身のブログに載せていった。
すると、絵を見た人から「売ってほしい」と連絡が来るように。
「職業にできるかもしれない」と手応えを感じ、料金表や専用ホームページを作って注文を受け始めた。
食べていけるくらいの注文はあったものの、商機を広げたいと模索。
軽井沢には犬連れの旅行者や生活に余裕がある人が多いと考え、2014年4月に移住した。
注文は犬の絵が8割で、残りは猫など。
飼い主からの他、ペットを亡くした友人に贈りたい人からもある。
ネットで注文を受け付けて写真をメールなどで送ってもらい、構図を決め、下書きをしてから絵の具を塗り始める。
多くの色を混ぜて毛の色に近くなるように調整し、筆で毛を一本一本描いていく。
色の濃淡などで奥行きを表現。
制作途中の作品を依頼主に見てもらい、毛の色などを逐一チェックしてもらう。
早ければ1カ月、長いと1年ほど完成にかかるという。
思うように色が作れなかったり締め切りに追われたりと「神経をすり減らしている」とも感じるが、絵を渡したときの顧客の喜ぶ顔がやりがいだ。
気に入って何度も注文してくれる顧客の存在も励みになる。
中には描いている途中に死んでしまうペットもおり、泣きながら受け取る飼い主の姿も目に焼き付いている。
21年4月から23年3月まで町地域交流施設「くつかけテラス」内の「チャレンジショップ」にギャラリーを設けた。
観光客らに油絵を実際に見てもらうことで、ネットでは分からない油絵の良さを知ってもらえたと実感。
オーダー数も2倍ほどに増えた。
「依頼主にとって絵にしたいほど大切だということ。今後も軽井沢の自宅で活動を続けていきたい」と意気込む。


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