普段おとなしく人懐こい犬、大声で数分ほえ続けた…
心筋梗塞で倒れた男性の「異常」知らせる
2023年5月6日(土)
千葉市若葉区の乗馬クラブ「千葉ライディングパーク」で飼われている雌犬「小梅」(5歳、雑種)が、倒れたクラブ会員の男性を発見して助けを呼んだとして、若葉消防署から感謝状を贈られた。
犬とスタッフらの連携で男性は大事に至らず、「完璧な対応」とたたえられた。
(萩原凱)
感謝状を贈られた小梅と丸尾さん(千葉ライディングパークで)
乗馬クラブなどによると、50歳代の男性が乗馬後に体調不良を訴えたのは、2月25日午後4時半頃。
男性は自分の車で休もうと駐車場に1人で向かう途中、心筋梗塞(こうそく)で意識を失い、転倒した。
人懐こい小梅はこの時、男性を追いかけていた。
そのため、男性の異常を察知し、数分にわたって大声でほえ続けた。
小梅の声に気づいたスタッフも迅速に対応した。
119番するとともに、自動体外式除細動器(AED)を使用し、男性は一命を取り留めた。
現在は後遺症もなく、普段通り乗馬に通っているという。
男性の救助にもかかわったインストラクターの丸尾優菜さん(23)は、小梅について、「人が大好きで、皆さんにかわいがられている」と話す。
丸尾さんによると、小梅はおとなしく、ほえることはほとんどない。
そんな小梅も、有事の際はほえる。
これまでも馬が柵を越えて逃げそうになったり、老衰で立ち上がれない馬を見つけたりした時は、大きな鳴き声を上げたという。
乗馬クラブには代々、乗馬の練習にやってきた会員を明るく迎える雌の「看板犬」がおり、どの犬も共通してこうした行動を取っていたという。
小梅が子犬の頃、一緒にいたのが先代の「梅」で、血のつながりはないが、小梅の面倒をよく見ていた。
丸尾さんは「梅から『何かあれば、すぐに人を呼びなさい』と教えられていたのかもしれない。彼女も天国で喜んでいるはず」と目を細める。
乗馬クラブで4月20日に開かれた贈呈式では、小梅に感謝状が贈られた。
若葉消防署の担当者は「少しの異変に気づくことが、危機管理では極めて重要になる。助けを呼んだ小梅の行動は素晴らしく、スタッフの動きも含めて完璧な対応だった」と話した。