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千葉で逃走の“ウルフドッグ”を確保。オオカミの血を引く超大型犬の攻撃性は?

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千葉で逃走の“ウルフドッグ”を確保。オオカミの血を引く超大型犬の攻撃性は?

2023年4月21日(金) 石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師


イメージ写真(写真:イメージマート)

TBS NEWS DIGは千葉県南房総市にある犬猫の保護施設で、逃げ出していた大型犬の「ウルフドッグ」のエルフちゃんが確保されたと伝えています。
いまのところ(20日現在)は、エルフちゃんから襲われたり、ケガをさせられたりした人はいないそうです。
エルフちゃんは、自分で保護施設に戻ってきているので、保護施設でかわいがってもらっていたのでしょう。
エルフちゃんからしたら、ちょっと散歩に行ってみただけなのかもしれません。
そうは言っても、体重が50kgもある犬が徘徊していると、やはり怖いです。
今日は、あまり日本では、見かけないウルフドッグについて見ていきましょう。

◆北海道で2015年に「ウルフドッグ」に襲われた女性死亡
ウルフドッグのエルフちゃんは、事故などもなく1匹で無事に施設に戻ってきましたが、2015年に、ウルフドッグに飼い主が襲われて死亡するという事件が起きています。
北海道遠軽(えんがる)町の山奥にある一軒家の敷地内で、飼い主の女性(当時52)が倒れているのを遠軽署員が発見しました。
女性の頭や胸、両腕には、噛まれた痕があり、ウルフドッグ4匹がうろついていました。
警察署は、女性が犬に噛まれて失血死したとみています。
この一軒家の住民である50代男性は、この時、留守でした。
この男性は、囲いの中でウルフドッグを放し飼いにして熊を追い払うようにしつけていたと話しています。
過去にこのような悲劇が起こっているのです。

◆ウルフドッグってどんな犬?

イメージ写真(写真:イメージマート)

ウルフドッグは、ウルフという言葉があるように、オオカミと犬の交配種です。
同犬は、オランダで猟犬や番犬にするために1920年ごろに作り出されました。
いろいろな犬とオオカミを交配させていますが、雌のオオカミと雄のジャーマン・シェパードを掛け合わせるのが主流だといわれています。
ちなみにニュースによると、エルフちゃんはハスキーとの掛け合わせとのことです。
・大きさ
固定された犬種ではなく、交配しているので、はっきりとした大きさは確立されていません。
一般的には大型犬なので体高も体重も大きく、体高は60cm~80cm、体重は40kg~70kgです。
二本立ちすると人間の身長を超えるウルフドッグもいます。
一般的な犬種よりも筋肉質で、しっかりとした体格を持っていることが多いです。
・毛色
オオカミに似た外見をしていて、毛色はグレー、ブラウン、黒、白などがあります。
・性格
オオカミの血を引いているので群れ社会を形成して、服従します。群れで生きることを好みますので、エルフちゃんはボスに会いたくて帰ってきたのかもしれません。
飼い主が、しっかりとしつけをしないと、飼育しにくいです。
狩猟本能があり、大型犬なので、運動量が多く、適切な運動を与えることが重要です。

◆ウルフドッグはペットにできるの?

イメージ写真(写真:イメージマート)

このような犬種には、一般的に「野性味」が強く感じられるため、飼いたいと考える人もいるかもしれません。
エルフちゃんは、逃走したけれど、自分で戻ってきたと聞くと賢いなとも考えます。
しかし、エルフちゃんは保護施設にいるので、飼い主に飼育放棄された可能性もあり、飼育には慎重になる必要があります。
ウルフドッグには、オオカミの血が混ざっているため、なかには狂暴になる可能性のある犬もいます。
また、大型犬であるため、ペットとして飼うには散歩の時間が2時間ぐらい確保できるたり、小型犬に比べて多量に食べるのである程度の経済的な余裕だったりも必要です。
エルフちゃんには、罪はありません。
このような野性味あふれる犬種を作り出したのは人間ですが、適切な環境でその犬の習性を理解し、飼育することが大切です。

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石井万寿美

まねき猫ホスピタル院長 獣医師
大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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