22年度ノネコ捕獲101匹 半数が人の生活圏から山中へ 奄美大島
2023年4月12日(水)
鹿児島県奄美大島の山中で野生化した猫(ノネコ)の、2022年度の捕獲状況がまとまった。
捕獲数は101匹で、すべて譲渡済み。
捕獲した猫のうち、避妊・去勢手術を施した個体が約5割を占め、人の生活圏にいる猫が希少動物の生息域に入り込んでいる実態が顕著になった。
環境省は「引き続き関係機関と連携し、ノネコの発生源となる野良猫、飼い猫の管理対策を強化する」としている。
奄美大島の山中で捕獲され、譲渡認定者に引き取られた猫=2022年3月、奄美市名瀬
ノネコの捕獲は奄美大島の生態系保護を目的に、環境省と鹿児島県、島内5市町村が策定したノネコ管理計画に基づいて18年7月に始まった。
年度別の捕獲数は、初年度が43匹、19年度が125匹、20年度が27匹、21年度は124匹だった。
22年度は前年度に続いてエリアを拡大し、島全体の約59%に当たる424・8平方キロメートルで捕獲作業にあたった。
作業開始から23年3月末までの捕獲総数は420匹。
捕獲された猫のうち、首輪やマイクロチップなどで飼い猫であることが確認できない個体は、収容後に希望する個人・団体に譲渡される。
これまでに殺処分は行われていない。
今年2月にあった奄美大島のノネコ捕獲に関する検討会では、自動撮影カメラで撮影された親子とみられる複数の猫や、国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少動物をくわえて運ぶ猫の様子なども公開された。
カメラ映像を解析した個体識別調査では、集落から山へ出入りする猫も確認しているという。
環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「山中のノネコの数を減らしていくこと、地域での適正飼養を徹底していくことを両輪で進めなければいけない」と話した。
ノネコ管理計画に関連して、5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会は、捕獲したノネコの譲渡認定者を随時募集している。
対象者は自ら飼育を希望する人や、希望者への譲渡を行っている団体など。
認定者になるには適正な飼育環境などの基準に合格する必要がある。
認定条件や申請方法は同協議会事務局(奄美市世界自然遺産課)
ホームページ(https://www.city.amami.lg.jp/kankyo/noneko.html)で確認できる。