何日も消火栓のそばから離れなかった犬
理由に「胸が張り裂けそう」(アメリカ)
2023年3月10日(金)
犬が飼い主にとても忠実なことは、よく知られています。
そんな犬たちの純粋な思いは、時に悲しい現実を招くことがあるようです。
アメリカで動物保護活動をしているスゼット・ホールさんのもとに、1匹の犬の情報が入りました。
その犬はもう何日間も、住宅地にある消火栓のそばに座り、そこから離れようとしないのだそう。
心配した近所の人が保護しようとしましたが、犬は逃げてしまい、捕まえられずにいました。
そこで、スゼットさんに助けを求める依頼がきたのです。
自分を捨てた飼い主を待ち続ける犬
スゼットさんが駆け付けると、通報どおり、犬は消火栓のそばに座っていました。
彼女が水をあげると、犬はあっという間に飲み干しました。
よほどノドが渇いていたのでしょう。
リードでつながれているわけでもないのに、その犬が消火栓のそばから動かない理由は容易に想像できます。
きっと犬は、その場所で飼い主を待ち続けているのでしょう。
近付くと犬は逃げるため、スゼットさんはワナを仕掛けたケージの中に食べ物を置いて、いったんその場を離れることに。
そして、しばらくして戻ると、犬は暴れることもなく、おとなしくケージの中に入っていました。
スゼットさんが犬を車に乗せた直後に、激しい雷雨があったのだとか。
そこで、彼女は犬を『サンダー(雷)』と名付けます。
サンダーは、マイクロチップは装着しておらず、飼い主を特定できませんでした。
スゼットさんは、サンダーを安全に保護できたことを喜び、「新しい家族を見つけてあげよう」と心に決めました。
彼女がFacebookにシェアしたサンダーのストーリーには、さまざまな声が上がっています。
・一体どうしたら、大切な愛犬を捨てられるんだ?理解できない。
・なんて忠誠心の強い犬だ。元の飼い主は、彼の無償の愛を受け取る資格はないよ。
・この犬の気持ちを思うと胸が張り裂けそう。これから幸せになってほしい。
スゼットさんはウェブメディア『The Dodo』に対して、次のように語っています。
「家族からもらったほんの少しの愛情を、彼は覚えていたんです。飼い主が戻って来た場合に備えて、彼はあの場から離れたくなかったんだと思います。」
スゼットさんのFacebookには、仮里親の家と思われる場所で元気そうに過ごすサンダーの写真が載っています。
彼女にはすでに、「サンダーの里親になりたい」という問い合わせが続々と寄せられているので、まもなくサンダーに新しい家族ができるでしょう。
信頼していた飼い主から捨てられた、サンダーの心の傷の深さは計り知れません。
サンダーが新しい家族からたくさんの愛情をもらって、幸せに生きていけるように願います。
[文・構成/grape編集部]