『まめねこ』『ねことじいちゃん』の人気漫画家・ねこまきが「猫ばかりを描き続ける理由」
2023年2月9日(木)
アニメ化もされたデビュー作『まめねこ』や、立川志の輔さん主演で映画にもなった『ねことじいちゃん』など、淡い色調で描かれる「猫がいる風景と物語」が人気の漫画家・ねこまきさん。
ペンネームにまで「ねこ」を入れるほどのこだわりぶりですが、意外にも猫好きになったきっかけはご主人なのだとか。
そんな猫への想いと作品への向き合い方について、お話を聞きました。
『ねことじいちゃん』1巻2話(KADOKAWA)より (C)ねこまき
■ずっと夫が好きだった猫「飼ってみたらどハマり」
── ねこまきさんが描かれる作品のほとんどに猫が登場していますよね。なぜここまで猫にこだわった作品を手がけられているのでしょうか。作品を描く際に特に大事にしていることを教えてください。
ねこまきさん:
初めて出版していただいた著書が『まめねこ』という猫の漫画だったことから、ありがたいことにそれ以降は猫の漫画を依頼されることが増えました。
実は、もともとは私よりも夫のほうが猫との関わりが深く、わが家で猫を飼うことになったのも夫の強い希望だったんです。
母子家庭だったこともあり、子どもの頃から住み着いた野良猫を家族のように可愛がり、その猫が枕元で出産するほど猫からの信頼も厚かったようです。
現在は2匹の猫と暮らしていますが、猫の可愛さに毎日癒やされています。
──愛すべきキャラクターたちと心温まるストーリーに癒やされるファンも多いと思います。作品のテーマやプロットはいつもどんなふうにお考えになるのでしょうか。
ねこまきさん:
テーマはやはり「猫」が基本になっています。
そばに猫がいるので、仕草などが描きやすいんです。
プロットは担当の編集の方と話して決めていますが、完全に自由に描くものからキチッと決めて進めるものまで、作品によってさまざまです。
思いつくタイミングは猫の相手をしているときがほとんどです。
自由気ままな猫に振り回される日々です(笑)。
──特に思い入れのある作品とその登場キャラについて教えていただけますか。
ねこまきさん:
やはり『ねことじいちゃん』の大吉じいさんとタマが一番思い入れのあるキャラクターです。
私の祖父母の家がモデルで、幼い頃の心に残った風景を絵にしていて。
今となっては見ることのできない風景なので大切にしています。
もうすぐ9巻が発売になりますが、まだまだ描きたりないと思っていますね。
──漫画家になられたきっかけは、ブログにアップしていた飼い猫のイラストが編集者の目に留まったことだったそうですね。特に初期の頃は、飼い猫をモデルにしたキャラを描かれていたのでしょうか。
ねこまきさん:
『まめねこ』の「あずき」と「だいず」にはモデルはいなかったのですが、当時子猫から育てた猫を飼っていて、その子の仕草を参考にしました。
「可愛い!」と思った仕草を全部入れた感じです。
飼って初めてわかったことですが、猫がトイレの掃除を要求してくるのがおかしくておかしくて。
掃除するまで許されないという(笑)。
── 本当に、猫ってずっと見ていても飽きないですよね。歴代の飼い猫さんと今飼っていらっしゃる猫さんについて、簡単にご紹介いただけますか。
ねこまきさん:
今まで夫婦で飼った猫はたくさんいますが、「にゃんこ先生」は苦しい時代を一緒に生きた“同志”とも言える特別な猫でした。
にゃんこ先生は、いわば「孤高のにゃんこ」でした。
飼い主のしつこいスキンシップに対し教育的指導として容赦ない鉄爪制裁を下すんです。
でも、甘え上手で。
どんなに流血しようとも激痛に悶絶しようとも、彼に対する愛情は決してゆるがなかったです(笑)。
その次に飼ったのが、「どんぐり」と「にゃん太」。
そして、今は「マロン」と「みかん」の2匹が相棒です。
どんぐりは食いしん坊で心優しい巨猫。
ベランダで抱き上げると必死でしがみついてきて、「高いところが苦手」という猫にあるまじき気質でした。
穏やかな性格で、やんちゃな3代目のにゃん太の面倒をよくみてくれていました。
歴代猫のなかで一番いい子だった、と今も家族間で語り継がれています。
3代目のにゃん太は、ねこまき史上初の「お膝猫」で、可愛くて仕方なかったです。
迎えたときはきょうだい猫より小さくて、か弱い子だったんですが、たくさん食べさせたくさん遊んでやった結果、暴君に育ってしまって(笑)。
何度ふとんにおしっこをされたことか…それでも、本当に愛してやまない子でした。
どんぐりもにゃん太も短命だったことが残念で、思い出すたびやりきれない気持ちになります。
4代目のマロンは、どんぐりの面影を追って長毛黒猫を探していて出会った子です。
食いしん坊でマイペースな巨猫。
後輩猫(みかん)にからまれる日々に“ぼやき”がとまらないぼやき猫でもあります(笑)。
爪切り・顔拭きなど、嫌なことをされたときはシャーッと吹きますが、絶対に人を噛みません。
媚びない性格、黒い毛皮にゴールドの瞳でクールな印象ですが、どんくさいのが玉にキズ(笑)。
運動音痴のイケメンです。
お客さんが大好きで真っ先に玄関にお出迎え、ひとしきり構ってもらえれば満足して去っていくタイプですね。
5代目のみかんは、末っ子巨猫。
野性味あふれる風体ながら愛らしい仕草と人懐こい性格で、家族の心をわしづかみにしています!
高いところと遊ぶことが大好きで、動くものをなんでも追いかけ、空を飛ぶカラスにさえも狙いを定める「狩人」。
そして「破壊神」なので、わが家の扉という扉はボロボロです。
ローンがあと20年残っているというのに…トホホ。
でも、それすら許せてしまいます。
余談ですが、夫は独身時代「ナナちゃん」「マッケンロー」「パピちゃん」を飼っていたそうです。
なかなか個性的な名前ですよね。
── 作品にも猫をはじめとする生き物への愛が溢れているなぁと感じますが、原点には「飼い猫さんたちへの愛」があるのですね…!今後手がけていきたい作品や、目標などがありましたら教えてください。
ねこまきさん:
目標はお話をいただけたお仕事はできる限りお受けして、チーム一丸となって完遂していきたいと思っています。
『ウォーリーを探せ』のような、間違い探しの要素とストーリー性を併せ持った絵本も、機会があれば描いてみたいですね。
PROFILE
ねこまきさん
2002年より、名古屋を拠点としながらイラストレーターとして活動。
コミックエッセイ・犬猫のゆるキャラマンガ、広告イラストなども手がけている。
著書にはベストセラー『まめねこ』シリーズ(さくら舎)、『トラとミケ:いとしい日々』(小学館)、『ねこアンソロジーコミック ねこといっしょ ニャつらの傾向と対策』(KADOKAWA)など。
3月16日には『ねことじいちゃん』(KADOKAWA)待望の9巻が発売予定。
取材・文/CHANTO WEB NEWS 写真提供/ねこまき 取材協力/KADOKAWA、さくら舎
ちゃんと 編集部
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