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動物保護団体でまさかの大バトルが勃発!

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動物保護団体でまさかの大バトルが勃発!…
SNS上で元従業員と繰り広げている、「泥仕合」の行方

2023年1月21日(土) 週刊現代

沖縄県最大の動物保護団体と関連企業を巡る一連の労働問題の原因は、後先考えないズサンな経営方針にあったと関係者は憤る。
自分の生活と猫の命、どっちが大事?…残業時間が月100時間超で家庭崩壊!動物保護団体従業員の「ヤバすぎる実態」』から続けて紹介する。

◆10年前から経営はギリギリ……
同団体と関連企業の内情を知る関係者の一人は、ため息をつきながら語る。
「実は賃金未払いの問題は10年ほど前からありました。当時から会社も団体もその財務状況は芳しくなく、自転車操業だったんです。ただ、客商売ですから売り上げに左右され、財務状況が良くなる時もあった。  ですが、融資や寄付などでまとまったお金が入ったとき、代表は先のことも考えずに新規事業を勝手に始めたり、従業員や猫の数を増やしたり……。とにかくすぐに使ってしまった。そのため翌月の支払いが滞る状態をずっと繰り返してきました。  代表は猫への思いはあるかもしれませんが、経営には向いていません。まず、収支を把握できておらず、いつもどんぶり勘定でした」
無計画な事業拡大も、経営不振の原因になっていたと指摘する。
「収入が厳しいにもかかわらず保護猫カフェや動物病院は2号店も作ったり、保護施設をもっと拡大しようとしたこともありました。経営の圧迫には猫の頭数も関係しています。熱意は分かりますが、保護した猫の飼育には当然、お金がかかります。  ですが、その頭数は自分たちが適正に管理できる数を超えていたんです。従業員の誰もがキャパオーバーだとわかっていたのに、代表は『大丈夫』と受け入れ続けてしまった。従業員たちは『もう猫を増やすのは無理です』『事業を広げるのは無理です』と何度も訴えていたそうですが、彼女は押し通してきた。  使いたいようにお金を使い、むしろ彼女のことを心配して反対する従業員たちのことは解雇してきた」(内情を知る関係者、以下同)
やりたい放題だったのは、それだけではないと憤る。


保護猫の増加も経営圧迫の原因に(写真はイメージ・Photo by iStock)

◆毎月支払われる代表の給与
「許せないのは、従業員の賃金は未払いなのに、代表は報酬を毎月全額もらっていることです。おまけに自分の手持ちが足りないときには、レジから勝手に売り上げを持っていってしまうんです。『マイナス●●●●円』と書かれた代表のメモがレジに入っていたことはよくあることでした。  おまけに、ご自宅の家賃18万円も『社宅』という名目で会社から出していました。本人はずっと『経営不振』って言っているのにですよ?」
収益の柱だったはずの「動物病院」と「保護」の運営がうまくいかないことも、原因の一つだと関係者は話す。
「獣医師の数が足りず、動物病院を休診せざるを得なかったこともありますが、その診療報酬の安さも経営を傾けたことも理由でしょう。手術費用や治療費などがほかの動物病院と比べて破格の金額だったので、手術や高い治療はすればするほど赤字になってしまった」
危機感を抱いた病院関係者らが診療報酬の値上げを提案すると、代表もそれにしぶしぶ従ったという。
これで経営も立て直せる、と思った矢先、代表は勝手に料金を元に戻してしまった。
「代表は目先のお金しか見えていなかった。料金を値上げしたらお客さんが来なくなると思ったのでしょう」

◆団体に猫を押し付ける人々
さらにもう一つの収入源であったのが、猫の「預かり金」。
これは、猫を飼いきれなくなった飼い主らや猫の保護主に月々決まった金額を支払ってもらって同団体で預り、保護施設で世話をしながら里親に出す、という取り組みだった。
「預かったお金から餌代や人件費を捻出していましたが、その金額だけではとてもじゃないけど賄えない。おまけに最近では保護施設や病院に猫を預けたまま連絡が取れなくなったり、支払いが滞る飼い主や保護主も増えていった。最初からその費用を払えない、払わない飼い主、野良猫に至っては、誰もその費用を払ってくれない」
元従業員らによると、同団体で飼育できる頭数は多く見積もっても300匹だという。
その数を大きく超えていれば、お金も人も足りなくなるのは火を見るより明らかだ。
「猫を遺棄した人、避妊去勢をせずにただ増やした人、無責任に餌をやる人、団体に押し付けて最後まで面倒を見ない人……みんな問題です。この団体だけの問題ではありません。動物に対する意識が変わらなければ、同じように崩壊していく団体は増えていくことでしょう」

◆元従業員vs.団体の着地点が見えない泥試合
こうした同団体のズサンな現状に対して一石を投じるため、一部の元従業員がSNS上で内情の告発を始めた。
だが、それに対して団体側もSNS上で反論を繰り返したり、状況を説明したり。
中には双方食い違う意見もあり、連日泥試合が続いている。
着地点はあるのだろうか――。
そこで週刊現代が同社に取材を申し込んだところ、騒動について代表は次のように弁明した。
「賃金未払いは本当です。それに仕事のやり方など、従業員との間に認識の違いもあり、揉めたこともありましたが、話し合いはしてきたつもりです。  ただ、これだけこじれたのは、辞めた元従業員たちを焚きつけている人がいるんです。うち(保護団体)の乗っ取りを画策していて、潰そうとしているんです」
それが連日の騒動の原因だと代表者は訴える。
しかし、未払いや過重労働があったことは事実。
従業員たちの生活がかかっており、長年苦しんできたのだ。
「それに関しては、経営者として申し訳ないことをしたと思っています。遅れていましたが、払う意志はありましたし、払っていました。払えないときは経営状態が悪くて払えなかったんです。  遅れるときはその旨も伝え、相談して、何度も頭を下げて謝罪してきました。ただ、車検などで、まとまったお金が必要、と従業員に言われたら、その時は私のクレジットカードで立て替えたこともありました。遅れた分だって少しづつお支払いするなどして、こまめに支払ってきました。それに問題になっているのは昨年の未払い分です。それ以前の給与は、これまでの従業員にすべてお支払いしています」(代表、以下同)
また、いくら経営難になったとはいえ、従業員の生活のため、解雇はしなかったことを強調した。
だが、代表が言うように本当に「従業員の生活」を考えているのであれば、まず賃金の未払いについて真摯に向き合うべきだったのではないか。
「私の給与についてもいろいろ言われていますが、元々そんなにもらっていません。それにレジからお金を持って言っていたことも指摘されていますが、それは確かにありました。病院や保護施設などで必要なものを購入するために使っており、自分のものなんて買ったことはありませんよ」


写真はイメージ(Photo by iStock)

◆経営悪化の原因はコロナ禍以外にも!?
経営が悪化した原因について尋ねると、悪化したのはここ2年ほどのことだという。
「愛護系の動物病院なので、動物の置き去りやうちに預けた動物の未払いもありました」
その金額は1000万円以上。
さらに保護施設にいる動物たちの医療費も年間800万円ほどかかっており、そのため動物病院の売り上げで補填していたという。
「それでも株式会社のほうは好調で、動物病院も猫カフェも売り上げが良く、これから、って時にコロナ禍になり、来客も減りました。おまけに動物病院でも獣医が辞めてしまい、収入が減り、経営が安定しなくなってしまった」
獣医がいないため、動物病院は休診が増えた。
おまけに診察も回せなくなり、外来の患者の待ち時間は増え、必然的に離れていったという。
「従業員を多く雇いすぎてしまったことも認めます。動物が多いのでしっかり世話をするにはたくさんの人手が必要だと思っていました。でもその分、人件費がかかってしまった。もっとボランティアさんに来てもらえばよかったと思っています」
一つ歯車が狂ったことで、すべてが悪い方向に回る悪循環に陥っていた、と代表。
だが、話を聞くと賃金の未払いや過重労働だけでなく、日ごろからの従業員との対立の中に、今回の騒動の火種があった様子がうかがえた。
「会社の中で運営のことで意見が合わないことはありました。例えば動物病院の診療報酬の金額です。診療報酬が安い、と従業員に言われ、価格もあげました。そうしたらほかの動物病院よりも高くなってしまい……お客さんも減ってしまったんです。  そもそも、うちの病院が診療報酬を安く設定していることには理由があります。私たちは利益よりも困っている動物の命を一匹でも多く助けたい、困っている保護主や飼い主さんを助けたい、という理念のもと、活動をスタートしたのが始まりです。なので、利益優先で高い金額をとることはその考えとは異なるのではないか、と思ったんです」

◆過重労働の原因は「猫ではない」
では、長時間労働についてはどうだろうか。猫の数が増えすぎていたのではないか。
「確かに従業員から『猫が多い』と指摘されたこともあります。これまでも大体300~500匹で推移しているので特別、多いわけではありません。長時間労働についても、以前いた獣医の先生が熱血漢で、私が『残業しないでください』と注意しても張り切って働いてしまった。それに従業員が引っ張られた。彼女たちだってダラダラと仕事をしていて、私の方から『おしゃべりしないで』と頼むこともありました」
ただその獣医が退職すると残業は減ったものの、同時に売り上げも落ちた結果、さらに財政的に厳しくなっていったという。
「特にNPOではお金や物資を皆さんからの寄付に頼っていましたが、最近はSNSでの情報発信が減ったからそれも少なかった。経費の問題で人手不足になり、従業員は動物の世話に追われており、お願いしてもなかなかやってくれない。『世話がしんどい』と相談されたこともありますが、だったら『譲渡情報を拡散するなどして、里親を決めてほしい』とお願いしていていました。  でも、私が提案したこともほとんどやってくれない。保護施設なので最終的には里親を決めることが目的。従業員の努力が足りなかったと思っています」
とはいえ、経営は芳しくない。
そのため経費削減のため、事業を縮小。
猫カフェには独立を提案し、ある企業に売却しようとしていた矢先、やり取りをしていた相手とトラブルになったという。
その後、その相手に元従業員らが付いたことで今回の騒動に発展した、と代表は推測している。
「そこと組んで私たちを潰そうとしているんです。確かに従業員にお給料の未払いで不安にさせたことはあります。でも私は遅れるときにはLINEで遅れると伝えていました。団体の今後については活動を今のところ継続していく意向です。  ただ、経費を削減するために人件費と猫の頭数を減らして、無理なくできる範囲でやろうと思っています」
施設は現在の動物病院の場所1ヵ所に集約し、猫の飼育もボランティアに頼るという。
「NPOで仕事をすることは一般企業で働くことは違います。ですから『ただ仕事をする』という方を雇うのは辞めようと思います。同じ趣旨で働ける人たちと一緒にやりたい。今手伝ってくれている人たちだって熱意があるので、従業員がいたときより保護施設もピカピカですよ。皆さんが心配しているような多頭飼育崩壊もありません」

◆「半分の猫を譲渡してもいいと思う」
対立している元従業員らとも、話し合う意志はあると話す。
「いろいろな動物愛護のやり方があるので、元従業員たちは彼女たちなりのほかのやり方で動けば助かる動物の数は増えます。お互いにそれで頑張ればいいんです。  それに猫カフェだって元従業員と関係者に渡して独立してもらうつもりだったので、猫を幸せにしてくれるなら、その半分を譲渡してもいいです。うちだって今はちゃんと世話ができているから、わざわざそこからとっていくことはない。  でも半分にすればお互いの団体の負担は軽減されますし、さらに保護することもできるようになります。 私はこれまで会社と団体の立て直しを図ってきましたが、うまくいかなかった。それに報道を通して、悪評が広がってしまえば獣医さんも来てくれない……。でも、私の引き起こしたことが原因なのでそこは反省しています。  なのでイチからスタートし、やり直したいんです。まずは未払いの給与をすべて払い、労働環境も改善していきたいと考えています」
一方のSNSで告発を続ける元従業員の一人もこう訴える。
「私たちは人も猫も、もちろん代表もみんな助けたいと思っているんです。なにも喧嘩がしたいわけじゃないですし、嫌がらせをしているわけでもありません。辞めざるを得なかった従業員たちと猫の生活を守らないといけない」
しかし、長年改善されない状況に憤りを覚えてきたこともあり、当然、その意見は厳しい。
「保護団体しかり動物病院しかり、今のままの状態では、事業継続は正直難しいと思います。新しい人を雇っても、代表の考えが変わらない限り、結局は同じことを繰り返してしまう。お金も人も足りない状況で、どうやって経営を継続させるんでしょうか。  もちろん、これまで猫のために頑張ってきてくれたことや評価できるところはたくさんあります。でも、もう猫から手を引いてほしい。まずは事業を畳んで従業員たちの返済に充ててほしい。猫だけじゃなくて私たちも生活に困っているんですから」
果たして円満な解決方法は見つかるのだろうか――。


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