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動物の悲劇に終止符を!

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「動物の悲劇に終止符を」、女優・杉本彩さんの「使命」

2022年12月30日(金)  

女優の杉本彩(すぎもと・あや)さん(54)が2014年に設立した「動物環境・福祉協会Eva」。
「何の罪もない動物が命を搾取されているという現実から、目をそらすことはできない。動物福祉の向上は、私の使命」と杉本さん。
「動物は、人生の最大の伴侶」と話す杉本さんは、芸能活動を続けながら、今日も動物たちの悲惨な状況を変えるための挑戦を続けています。
(JAMMIN=山本 めぐみ)

◆「日本の動物福祉を向上したい」

お話をお伺いした杉本彩さん。自宅で大好きな家族と。左から、アストル、小梅、ベティ、でんじろう、きなこ(Photo:山村隆彦)

杉本さんが立ち上げた公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」は、動物福祉向上のための啓発活動を行う団体です。
これまで、国会や行政への働きかけ、全国各地での講演、子どもたちに命の大切さを伝える授業などを行ってきました。
「動物の保護については、本当に多くの団体さんが日々頑張ってくださっています。私はこれまでの芸能活動で多くの方に顔と名前を知っていただいているという強みを生かし、啓発活動を行うことが使命ではないかと思いました」と杉本さん。
啓発と同時に、劣悪な動物虐待の刑事告発も行っています。
「動物虐待は密室で行われ、人知れず痛ましい死に方をしている命がたくさんあります。それを明るみにするために、虐待現場への介入や捜査などの権限を持たない私たちができる唯一の手段として、刑事告発を行っています」


長野県松本市の劣悪繁殖業者の犬舎。山の中にあり、主に病気の犬や繁殖引退犬が収容されていた。エアコン等の空調設備はなく、暑い日は天井のブルーシートを上げ下げするのみ。犬舎には糞尿が堆積し、あふれていたという

最近で最も大きかったのは、2021年、長野県松本市で1,000頭の犬を飼育していた繁殖業者が、獣医師免許も持たず出産間近の犬を無麻酔で帝王切開していた事件。
「人の手が届かないほどに高く積み上げられたケージに、2~3頭の犬が入れられ、糞尿は上から垂れ流し、死体もそのまま放置されているような劣悪な飼育環境下で、出産時期が近づいた母犬の四肢を縛り、無麻酔でお腹を切り開いて子犬を取り出して、何もなかったかのように販売していたという残酷極まりない事件でした」
「劣悪な飼育環境を行政側も把握していましたが、指導はかたちだけで、約30年間放置されていました。元従業員から相談を受けた地元の動物病院の医師からEvaに通報があり、内容を詳しく聞き取った後、刑事告発しました。元代表は動物愛護法違反で逮捕され、現在公判中です」

◆虐待を明るみにするための刑事告発、証拠が揃わず、事件化できるのはごく一部

2022年3月、長野地方裁判所松本支部にて行われた、劣悪繁殖業者が起こした動物虐待事件の初公判後の記者会見の様子。現在も裁判は続いている

業者だけでなく、一般の飼い主による虐待も後を絶たないと杉本さんは指摘します。
京都では、飼い主が自宅で飼っていた猫の爪をすべて根っこから切り落とし、舌を切断し、胸部を壁に打ち付けて殺害するという事件があったといいます。
「ペットショップで購入すると生命補償があって、この飼い主が代替猫の提供を求めたことで犯罪が顕在化しました。この飼い主は、他の猫についてもヒゲを火で燃やす、尻尾を掴んで振り回すといった虐待をしたことを認めています」
大阪では、保護猫を迎え入れた飼い主が、医療用アルコールを浴びせて着火し、大火傷を負わせるという事件がありました。
「1日放置した後に獣医の元へ連れていき、様子がおかしいと感じた獣医が通報したことで事件が明るみになりました。犯罪が事実だったとしても、動物病院に連れて行ったことや深く反省していることなどを理由に、不起訴(起訴猶予)になることもあります」


2017年12月、埼玉県で起きた「元税理士による猫13匹虐待事件」の有罪判決後に行われた記者会見。この事件をきっかけに厳罰化の動きが加速し、実際に2019年改正にて厳罰化が実現した

「私たちが刑事告発のかたちをとるのは、不起訴処分になった場合、検察審査会に審査の申し立てができるからです。この事件の場合、私たちの不服申し立てを受けて、検察審査会で再度真偽が問われ、結果、飼い主に対して10万円の罰金の処分が下りました」
「たかだかそれだけの処分ではありますが、『罪に問われた』という点、前例を作ることで、今後のより厳正な処分につながっていくという点では、一歩前進したと考えています」と杉本さん。
さまざまな相談が寄せられる中、「『動物虐待は見逃さない』という思いで、必要と思えば可能なかぎり刑事告発しています」と話しますが、動物たちが虐待を受けて苦しんでいることは明らかでも、告発のための証拠や証言が十分に揃わず、悔しい思いで告発を断念せざるを得ないこともあるといいます。

◆「この悲劇に、終止符を打つこと。それが、私の使命」

2021年9月、動物愛護管理法の厳格な運用を求めるために小泉進次郎環境大臣(当時)を訪問。「法律や省令に基づいた適切な運用がなされていない現状についてお伝えをし、改善を要望しました」

「刑事告発のためには証拠や証言を集めるのですが、その内容は実に無残で、ふつうの精神状態ではいられません」と杉本さん。
虐待の状況を聞いたり見たりした人が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまうほど衝撃的な内容もあるといいます。
杉本さん自身、最初の頃は「精神が壊れていくような感覚になった」と振り返ります。
さらに顔と名前を出して告発するので、相手から逆恨みをされたり、動物愛護法の改正にも携わっているので、「自分たちの利益が奪われた」と思う業者から目の敵にされたりすることもあるといいます。
そのようなリスクを負ってまで、なぜ杉本さんは活動を続けるのでしょうか。
「私は、この状況を放っておけません。動物は、社会の中で最も弱い立場にあるからです。何の罪もない動物が命を搾取されているという現実から、目をそらすことはできません。残虐なことが起きているということを周知し、動物たちが置かれている状況を改善していくために、リスクを負ってでも、覚悟を持って活動しています」
「これが、私の使命。動物を保護すると同時に、このようなことが二度と起こらないようにするためには、物事の根本に着手して、根っこから改善していかなければならない。そうしなければ悲劇は終わりません」
「『リスクがあるから』『つらいから』と逃げていては、使命を全うできない。いつか自分が人生を終える時、『やりきった』と納得して終わりたいと思っています。この悲劇に、終止符を打つこと。それができると信じているし、私の使命感はそこにあります」

◆「思いやりは、想像」、動物から教えられたこと

2011年3月、東日本大震災の被災地からレスキューした猫たちが産んだ子猫と。「自宅も芸能事務所もシェルターにして、スタッフ総出でお世話をしました」

子どもの頃から動物が好きで、動物とは家族のように、我が子のように、一緒に生きてきたという杉本さん。
「言葉こそ持たないものの、人と同じように、あるいは人以上に、本当に豊かな感受性を持つ動物たちとの暮らしの中で、随分といろんなことを教えられ、救われてきました。ひたすら無償の愛を注いでくれる動物たちは、人生の最高の伴侶であり、大きな存在です」
「犬や猫は、人間よりもはるかに短い生涯の中で、老いや病を経験しながら、時にはかなく、時に力強い、限りある命の尊さや輝きを見せてくれます。一緒に暮らしていた動物の介護・看取りを通じて、『思いやりって想像力だな』と実感することがありました。寝たきりの状態の子に、床ずれを作ってしまったことがあったんです」

Evaでは毎年9月の動物愛護週間に向け、啓発ポスター・チラシを作成し、無償配布。2022年のテーマは「おもいやりは、想像」。
「動物の目線に立ち、気持ちを想像し、何が出来るのか考え行動する。動物と接する上での基本を、改めて問い直したいと考えました」

「動けない、話せない相手の立場になって考えることの大切さを、改めて感じました。相手の気持ち、痛みや苦しみを想像することがすごく大切。想像力が増していけば、思いやりはどんどん豊かになり、行動に移せることも増えていきます。私は介護を通じて、そのことを、はっきり実感として言葉にできるようになりました」
「人の幸せとは、自分以外の誰かを愛し、慈しむことにあるのではないでしょうか。一時的に、物質的な豊かさを求めることもあるかもしれません。だけどこの世を去る時に、そういったものは、あの世へは持っていけません。かたちのないものを豊かにしていくこと、その喜びや大切さを、私は動物たちとの暮らしの中で、彼らから教えてもらいました」
「動物との暮らしがなければ、私にとっての幸せは、ブレていたかもしれません。動物たちがくれる経験は感謝でしかなく、その存在の大きさを実感しているので、彼らの命を守っていきたいという思いがあります」

◆行政は権限を生かして、虐待の現場の改善を

2021年7月、吉村洋文大阪府知事との面談。「大阪府における地域猫活動・TNR推進の施策について要望致しました」

「虐待の相談や通報があった時、本来であればその権限を持っている行政が、改善の指導や保護をするべき」と杉本さん。
しかし「指導」とは名ばかりで、現場の改善につながっていない現実があるといいます。
「警察に相談しても『管轄外なので、行政に相談してください』と言われてしまう。私たちのところに寄せられるのは、他に打つ手がなく『最終的にどうしたらいいんでしょう』という相談がほとんどです。行政は『指導はした』という既成事実を作るだけ。『自分たちが介入して、状況を改善しなければならない』という姿勢は正直、全く感じられません」
「そんな行政の態度を知っているので、動物を取り扱う事業者側も、規則を守るのは表向きだけ。動物愛護法は5年に1度改正されているにもかかわらず、なかなか現場に反映されていかない現実があります」
「私たちのような団体は、行政のように虐待の現場に立ち入ったり指導したり、事業登録を取り消すといった権限は何ひとつありません。虐待の事実に対して、証拠を外から集めて告発する以外、手段を持たないのです」
「虐待をした人は、その後も同じように動物を飼育し、同じようにビジネスを続けるでしょう。行政が変わらない限り、動物の苦しみは終わりません。罪を問い、処分を下すということは、誰かを犯罪者にするということでもあります。行政がきちんと動いてくれれば、虐待を防ぎ、犯罪者を作ることも未然に防ぐことができます」
「命を救うために、行政が権限を行使しないのであれば、民間にその権限を付与してほしい。そう思います」

◆「自分のエゴを満たすために、動物が犠牲になっていないか」

2018年4月、法律の厳罰化の請願署名提出の準備中。「2019年改正で動愛法の厳罰化が実現したのも、皆さまから頂いた署名、民意の力だと実感しています」

「地道に忍耐強く活動していると、中には劇的に動くこともあって、そういうことが力になっています」と杉本さん。
「前回の動物愛護法の改正では、動物虐待に関する罰則や、不適正飼養に対する指導が強化されました。法改正のために、可能な限り議員会館にへばりつき、ロビー活動を行い、皆さまの署名を集められるだけ集め、ものすごく大きなエネルギーと意志を持って取り組みました。その思いが議員の方たちの心を動かし、法改正につながったと思います」
「目に見えて前進することもあれば、全然前に進まないように感じることもあります。でも何もしなければ、状況は悪くなる一方です。『何がなんでもやり遂げる』という信念を持ち続けていると、結果、振り返ってみた時に、ちゃんと好転しているんです」


2020年7月からYouTube配信をスタートした「Evaチャンネル」。「動物問題に興味がある方は勿論、興味のない方、難しそうだなと思っている方にも、分かりやすく、楽しみながら見ていただけるようなチャンネルを目指し配信しています」

「非力さを痛感することも多いですが、もっともっと力をつけて、人と動物が幸せに暮らせる社会のために、自分ができることをやっていきたい」と話す杉本さんに、読者の方たちに向けて、メッセージをお願いしました。
「動物を苦しめているのは、自称『動物好き』の人たちです。ペットショップで購入し、安易に飼って無責任に放置するのも、『動物に癒されたい』と触れ合えるカフェに行くのも、自称『動物好き』の人たちです」
「動物好きであることは良いことですが、自分が楽しむためだけに動物を利用するのではなく、『もしかしたら自分のエゴを満たすために、動物が犠牲になっていないか』ということに、思いを馳せていただきたいと思います」
「JAMMIN(ジャミン)」は京都発・チャリティー専門ファッションブランド。
「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週さまざまな社会課題に取り組む団体と1週間限定でコラボしたデザインアイテムを販売、売り上げの一部(Tシャツ1枚につき700円)をコラボ団体へと寄付しています。
創業からコラボした団体の数は400超、チャリティー総額は7,500万円を突破しました。

 

杉本彩さんの活動については、いろんなメディアで多くの記事が取り上げられておりますが、どれもほんとうに奥深い内容であり、共感を持ち私どもも頑張ろう!という気持ちを持たせてくれます。
動物愛護社会も複雑であり、杉本彩さんがおっしゃるように、多くの動物愛護団体や活動家などが存在しますが「真の動物愛護活動」をやっているところはどれだけあるでしょうか・・・
ともすれば目先の事だけしか見ていない動物愛護活動が多いのではないでしょうか?
行政機関での「殺処分ゼロ達成!」とか一時いかにも目標を達成したかのようにPRする姿が目に入りました。
動物愛護センタなど行政機関の施設というのは「最後の砦」、そこに至るまでにどれだけの犬猫が不幸になっているか、数字では表せませんが行政機関での収容数とは桁違いの多くの犬猫が命を落としています。
人間が犯した大きな罪です。
我々人間はもっと自覚すべきであり、道からズレた私欲にかられないこと。
皆さんは、なぜ不幸な動物たちが無くならないんだろう?どうしたらなくなるんだろう?と自問自答したことはありますか。
みんながそのような感覚を持てば良い方向に向かっていくはずです。

ペット産業とブリーダーの問題
子犬や子猫の可愛さばかりがアピールされ、飼い主の責任や生涯飼育の大変さについてはあまり語られることがありません。
そのためペットショップで安易にペットを購入して、生活や住環境の変化により手放さざる終えなくなるケースが多くあります。
また、パピーミルといわれる、劣悪な環境で繁殖をさせる悪徳ブリーダーによる人気犬種の乱繁殖による遺伝的疾患の蔓延にも多くの問題があります。
多くの繁殖犬達は身動きが取れない程の狭いゲージに閉じ込め、最低限の餌と水しか与えず、何年も繁殖させられます。

飼い主の問題
安易に自家繁殖をし、飼育しきれない程の多頭飼いになって崩壊してしまう無責任な飼い主が多くいます。
 また、動物虐待、飼育放棄、ネグレクト、地域猫の餌やりによる繁殖増加も社会的な問題になっています。
更には、欧米先進国で既に問題視されている「アニマルホーダー」です。
私たちに最も身近な愛玩動物、不幸な犬・猫たちを無くすために、適正飼育と避妊・去勢手術の重要性を理解してください。

(byぬくもり)


動物環境・福祉協会Eva


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