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ガリガリで遺棄されたペルシャ猫

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ガリガリで遺棄されたペルシャ猫、いじらしくフミフミするも救えなかった
「マイクロチップは万能ではない」

2022年11月28日(月)   

コロナ禍でペット需要が増し、保護犬・猫の譲渡を希望する人も増えたという。
だが、行動制限もなくなった現在、犬や猫が遺棄されるケースがよくあるそうだ。
小雨が降る公園をさまよっていたペルシャ猫「ペペ」も、おそらく遺棄された猫。
一命を取りとめたペペには、今年6月から事業者に義務化されたマイクロチップが装着されていたが――。
NPO法人『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏に、話を聞いた。


雨の公園で保護されたペルシャ猫、ペペ(写真:ねこけんブログより)

■遺棄?雨の公園をさまようガリガリのペルシャ猫、朦朧としながらも前脚フミフミ
その小柄なペルシャ猫が運び込まれたのは、10月の半ば。
『ねこけん』のボランティア仲間である団体が、保護してきたのだという。
猫はガリガリで、ひどい脱水に低血糖、体温も低く、朦朧としていた。
腹水もたまっており、体の状態は極めて危険。
「何日間か、公園の中をさまよっていたようです。通報を受けたボランティアの方が飛んでいって保護したものの、かなり弱っていて」
長い毛には落ち葉がからみ、毛玉が固くなってしまっている。
片目は白濁して目やにがあふれ、陰部からは膿のようなものが流れていた。
あまりに悲惨な状態の猫を見て、「もっと早く保護ができていれば…」と、やり場のない感情が渦巻いたという。
ねこけん病院の獣医師たちが保温、点滴、目やにのふき取りなどの処置を行うと、朦朧としていた猫は少しだけ頭を持ち上げるようになった。
ちゅ~るをあげてみると、弱々しいもののペロっと舐める。
そして、こんな状態になりながらも、前脚でフミフミを繰り返す姿がどうにもいじらしかった。
「いまだ外で生きる猫もいますが、ペルシャ猫というのはかなり珍しい。迷子であれば届け出が出ていたり、張り紙が出されていたりします。でも、飼い主が探している様子はなく、盗まれて捨てられたとも考えにくい。おそらく、遺棄されたのではないかと思います。そして、この猫にはマイクロチップが入っていました」
2022年6月から、ペットショップやブリーダーなどで販売される犬や猫には、マイクロチップの装着が義務付けられている(一般の飼い主には努力義務)。
それを考えると、「猫を遺棄したのは、ブリーダーやペットショップ、またはそこから購入した人なのではないか」と推測されるという。

■救うことができなかったペペ、マイクロチップへのジレンマも

緊急で処置されるペペ(写真:ねこけんブログより)

その後、入院して治療を受けることになったペルシャ猫。
ボランティアから「ペペ」という仮名をもらい、少しずつ元気を取り戻していった。だが、治療の中で、ペペはFIP(猫伝染性腹膜炎)であることが発覚。
その治療も進められ、ペペはこのまま回復するかに思われた。
「高度医療が受けられる病院で治療できたものの、ペペは逝ってしまいました。かなり手を尽くしたけれど、助からなかった。あんなにひどい状態になっていたペペ、なんとかして幸せにしてあげたかったです」
残念ながら、救うことができなかったペペ。
なぜペペがこんな目に遭わなければいけなかったのか、その理由は今となってはわからない。
マイクロチップは、飼い主や販売事業者が、いなくなった犬猫を探す際に役立ち、また無責任な遺棄を抑制する効果も期待できると言われている。
だが今回、マイクロチップに対するジレンマも感じたそうだ。
「もともと可愛がられていた猫が迷子になってしまったのなら、マイクロチップに登録された飼い主情報を調べて、返すことができます。でも、ペペのようにひどい目に遭った猫の場合、チップをたどって飼い主や事業者に返したとしても、また悲惨な状態に逆戻りする可能性があります。いくらマイクロチップが装着されるようになっても、元に戻せばすべてが解決するわけでもなく、万能でもありません」
そのため、「ペペが生きていたら、チップがあっても元の飼い主には伝えようとは思いませんでした」と語る溝上代表。
だが、ペペはもういない。
「登録情報を調べて、ペペがなぜこんな目に遭わなければいけなかったのか、追及したいと思います」


こんなに可愛らしいのに、救うことは叶わなかった…(写真:ねこけんブログより)

【写真】「涙が止まらない…」回復したように見えたのに…ちゅ~るでフミフミする可愛いペペ


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