動物と一緒に生活できる障がい者施設が話題
寂しい時に寄り添ってくれる犬猫たち
2022年9月6日(火)
兵庫県尼崎市に、障がい者が動物と住める施設がある。
ヘルスプロダクト株式会社の「ホームわんこ」と「ホームにゃんこ」である。
障害を持った方が犬や猫と一緒に住めるということで、話題を呼んでいる。
抜群の笑顔の近藤さん・フーちゃん(左)・ハナちゃん(右)
2019年に設立以来、徐々に数は増えていき、現在は入居者が満員で待機している人もいる。
ありそうなのに、関西には全くなかったというこの業態。
活動の内容など、代表取締役の近藤繭さんに聞いた。
――主にどのような活動をされていますか?
動物の保護団体から犬猫を譲り受け、運営しているグループホームで入居者と一緒に住んでいただいています。
あとは、尼崎の魚の本来捨てる部分を犬のおやつに加工して販売しています。
――元々、福祉関係のお仕事をされていたのですか?
近藤:この会社を立ち上げるまでは、看護師でした。元々動物が好きでしたので、仕事の傍ら動物愛護の仕事をずっと探していました。
――この業態を始めようとおもったキッカケは?
近藤:東京で、2~3社ほど同じような会社にたまたま出会いました。
調べると関西には無いとわかって、運命を感じました。
看護の経験を活かしながら動物愛護も出来るということで、絶対立ち上げるぞ!と動き始めたんです。
――最初から順調でしたか?
近藤:初めのうちはほとんど入居者が集まりませんでしたね。
尼崎市民ではないので知り合いやツテも無い中で試行錯誤をしました。
地道に介護事業所や病院などに営業を行っていった結果、少しずつ入居者が増えていきました。
――犬や猫は、やはり保健所などから保護するのですか?
近藤:保健所での保護はよく取り上げられますが、実はかなり審査が厳しいです。
業者には原則引き渡せないそうです。
一般的に会社は絶対潰れないとは言えないですしね……。
個人でも、絶対に最期まで飼う宣誓などをするそうです。
なので、現在は大阪にある一般社団法人の活動に理解のある保護団体から譲り受けています。
――保護動物と入居者との関係は良好ですか?
近藤:比較的馴染む子たちが多いです。
ただ、虐待を受けたり複雑な環境から来た子も多い為、馴染めない子は、私の家で飼育しています。
――どのような経緯で入居される方が多いですか?
近藤:病院から退院後、一人になるのが不安でたまたま見たチラシで入居を決められた方がいます。
あとは、親御さんが心配されて入居を進められた方もいます。
動物は大好きだが、散歩や世話が困難で諦めざるを得ないという人が、入居なさったケースもあります。
――入居者の声などはありますか?
近藤:ワンちゃんがいてよかった、可愛いなんて声はよく聞きますね。
あと個人的に思うのは、動物と触れ合う中で目に見えて発話数が増えていますね。
入居してしばらく経つと、表情もどんどん豊かになっていくんです。
入居者のKさん:最初は不安でしたが、わんちゃんがいて心が温まりました。
悲しい時や寂しい時、察知してくれて嬉しいです。
――犬のおやつを作ったと聞きました。
近藤:はい。つい先日までクラウドファンディングをしていたのですが、魚から作った犬のおやつを販売しています。
ふりかけは食欲不振にもいいですし、噛み応えがあるジャーキーは、うちのわんちゃんたちにも好評です。
子ども食堂で廃棄になる尼崎の魚の骨などで、犬が食べられるものを選定しています。
フードロス削減の観点からも有意義な活動だと思っています。
――今後の展望などを教えてください。
近藤:やはり、入居者のみなさんの笑顔を見ていると動物たちのもつパワーに驚かされます。
この喜びの輪を広げるべく、少しずつ規模を拡大していけたらいいなと思っています。
今後も、動物愛護や障がい者支援を軸に、頑張っていきます。
【写真】Kさんが犬に食事をあげている様子 なんとも穏やかな空間
◇ ◇
取材をする中で、保護動物の現状と可能性を改めて感じた。
筆者の実家でも保護猫を飼っているが、個人や会社を問わず多くの人が、殺処分などの問題への取り組みを試みを続けることが大事だと思う。
なお、本記事で紹介した商品は現在販売サイトを立ち上げ中とのこと。
詳しくはホームページやSNSで確認して欲しい。
よろず~ニュース
ホームわんこ | 尼崎市武庫之荘で保護犬と過ごせるグループホーム - ヘルスプロダクト株式会社 (healthproduct.jp)
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