猫も人も幸せに 動物病院を併設した猫シェルター、開設に向けCF
2022年8月23日(火)
盛岡市で保護猫の診療と不妊・去勢手術専門の動物病院「スペイクリニック」を併設したシェルターの開設準備が進んでいる。
無秩序な繁殖による「多頭飼育崩壊」を解決しようと、保護猫の譲渡活動などに取り組むNPO法人「もりねこ」が計画。
手術費用を抑え、望まれない命が増えるのを防ぎたい考えだ。
資金の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。
【湯浅聖一】
「猫も人も幸せになる社会を目指したい」とシェルター開設に向けた抱負を語るNPO法人「もりねこ」の工藤幸枝理事長=盛岡市で2022年8月18日午後1時42分、湯浅聖一撮影
同法人は殺処分ゼロを目指して2014年に設立。
市内の保護猫カフェを拠点に活動し、21年からは病気や高齢の猫を介護する施設も運営している。
保健所などからの要請を受け、これまでに800匹以上の猫を保護してきた。
一方で高齢化が進む県内では、飼い主が死亡したり施設に入所したりして猫が取り残されるケースや、不妊・去勢手術を受けずに繁殖させてしまい、世話ができなくなる多頭飼育崩壊が急増。
同法人への相談も18年ごろから増え、多頭飼育崩壊の現場での保護活動を始めた。
しかし、県内には動物愛護センターのような公的な保護施設はなく、民間団体が一度に数十匹を引き取るのは難しい。
事前に感染症の検査やワクチン接種、不妊・去勢手術を済ませる必要があり、時間も費用もかかる。
工藤幸枝理事長(36)は「多頭飼育崩壊は不妊・去勢手術さえしていれば防げる問題」と手術の必要性を訴える。
同法人が以前に保護した猫から感染症が広がり、1カ月以上の店舗休業を余儀なくされた経験から、店舗や施設から離れた場所でのスペイクリニック併設のシェルター建設を決めた。
シェルターは盛岡市三ツ割にある木造2階建ての空き店舗を購入してリフォームし、猫の検疫室や症状に合わせた部屋を設ける。
既に工事に取りかかっており、10月をめどにオープンする予定だ。
事業費約4300万円のうち1200万円を目標にCFで支援を求める。
期限は9月26日までで、CFサイト「レディーフォー」で1口3000円から受け付けている。
「シェルターが完成すれば、猫の保護から手術などの医療ケア、譲渡までをもりねこで一元化できる。シェルターを拠点に不妊・去勢手術の大切さを周知し、猫も人も幸せになる社会に貢献したい」。
工藤理事長は力を込めた。