流通業でも広がる「動物福祉」
ミスターマックスは犬猫などの販売終了へ
2022年7月22日(金)
動物を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」が世界的な潮流となる中、流通業の現場でも配慮の動きが広がっている。
ディスカウントストアのミスターマックス・ホールディングス(福岡市、HD)は2025年末までに、犬や猫などの展示販売を終了すると発表。
保護された動物の里親を探す譲渡会に力を入れる企業もある。
ミスターマックスHDによると、同社が展開する「ミスターマックス」では全国57店中、24店(6月末時点)にペットショップのテナントが入居。
犬や猫、ハムスター、ウサギ、熱帯魚などを展示販売しており、これまでもケージの大きさや運動できるスペースを確保するなど飼育環境改善に取り組んできた。
同社では5年以上前から、生体販売の倫理的課題を検討しており、その結果「総合的に判断して展示販売をやめることにした」(広報)と説明。
展示販売終了後も「人とペットがより豊かな生活を送るためペットフードや用品などの充実を図る」としている。
イメージ(写真と本文は直接関係ありません)
コロナ禍で在宅時間が長くなり、ペット市場は拡大。
一方で、飼育放棄などが社会問題化している。
ホームセンターを展開する島忠(さいたま市)では「ペットと人の共生社会の実現」に向けて、20年7月から一部店舗でペットの陳列販売をやめ、同社が認定するブリーダーを通じた紹介に切り替えた。
動物愛護団体の協力により関東・関西の24店舗で、保護された動物と里親希望者を引き合わせる「譲渡会」も実施。
これまでに千頭以上が里親に譲渡されたという。
譲渡会は九州でも広がりつつある。
イオン九州(福岡市)は30日、動物病院やペット用品専門店などを運営するイオンペット(千葉県市川市)と、イオンモール筑紫野(福岡県筑紫野市)で動物愛護イベントを開く。
イオン九州ではこれまでも保護団体と協力して譲渡会を実施してきたが、イオンペットとの合同企画は初めて。
施設1階にある里親募集施設「ライフハウス」のリニューアルオープンに合わせ、保護猫の譲渡会などを実施する予定だ。
(古川剛光)